
デザイン性の豊かさが魅力的なサイディングボードは、現代の戸建て住宅で最も採用されている人気の外壁材です。
しかし新築から数年すると汚れが目立ってくることもあり、高圧洗浄機を使用して効率的に汚れを落としたいと考える方もいるでしょう。
この記事では、サイディング外壁の正しい洗浄の仕方や高圧洗浄機を使用する際の注意点を解説します。
サイディングに高圧洗浄しても大丈夫?

サイディング外壁は高圧洗浄機で清掃してもよいのでしょうか。結論から言えば普段のお掃除では避けた方が無難です。
以下にその理由と、高圧洗浄機を使用するのはどのようなケースなのかを整理しているので、洗浄を検討している場合は確認しておいてください。
日常清掃での高圧洗浄はNG
日常のお手入れの目的でサイディング外壁に高圧洗浄機を使用するのはNGです。
窯業系サイディング外壁はセメントを主原料としたボード状の部材を現場で張る工法ですが、セメントは吸水性があり水に弱いという特徴があります。そこで、表面を塗装で保護して防水機能を維持しているのです。
塗膜は高圧洗浄機のような強い水圧で洗浄すると剥がれてしまうことがあります。塗膜が剥がれるとそこから水が浸入し、サイディングボードを傷めたり雨漏りの原因になってしまったりするため、強い力では洗浄できません。
塗装前の下地処理としては必要不可欠
普段のお手入れでは高圧洗浄機は使えませんが、外壁塗装工事の際の高圧洗浄は例外です。
外壁にはホコリや砂、コケ、カビ、鳥のフンなどが付着しています。また、古い塗膜が粉状になってついており、このまま塗装してしまうと塗料が外壁に密着せず、塗装の耐久性に影響が出てしまいます。
塗装を長持ちさせるためには、表面についた汚れや浮いた塗膜を洗い流さなければなりません。そこで外壁工事では、塗装作業を行う前に屋根と外壁全体を高圧洗浄機で洗浄します。
高圧洗浄は1日かけて行い、その後1〜2日間乾燥させてから塗装作業へ進むのが一般的です。
実施前に確認すべき劣化箇所
外壁に高圧洗浄をする場合は、事前に劣化箇所を把握しておく必要があります。
ひび割れや外壁材の反り、浮きがある場合、高圧洗浄機で大量の水を噴射すると状態がひどくなったり内部に水が浸入して家屋に悪影響を及ぼすおそれがあります。
劣化が見られる場合は補修により防水性を高めてから高圧洗浄を実施しなければなりません。
ひび割れはその大きさによって補修方法が異なるため、外壁塗装業者のプロの目で診断してもらうことが大切です。
サイディングを高圧洗浄すると起こるトラブル例

サイディング外壁を高圧洗浄機で洗浄すると、素材に大きな負担がかかり、劣化や破損などのリスクが高まります。
ここでは、外壁を高圧洗浄することで起こりやすいトラブルを紹介します。
塗膜の剥離・チョーキングの進行
高圧洗浄機の強い水圧を外壁に当てると、塗膜が傷つくおそれがあるため注意が必要です。
塗膜が傷つくと塗装が剥がれる可能性があります。塗膜が一部分でも剥がれると、そこから水が塗膜内に浸入するようになり、剥がれが全体に広がって見た目が悪くなるだけでなく、外壁の防水機能が低下してしまいます。
高圧洗浄機がチョーキングの発生の直接の原因にはなりませんが、塗膜が傷むことによって劣化が進行し、チョーキング現象が早まる可能性は否定できません。
シーリングやサッシ目地からの浸水
サイディング外壁は、サイディングボードをシーリング材(コーキング)の目地でつなげた構造です。
シーリングは防水性と気密性を保つ役割を持っていますが、高圧洗浄機の強い水圧を当てるとボードから剥がれたり割れたりすることがあります。シーリングに剥がれや亀裂が起こると雨水が建物に浸入して住宅の劣化を早める原因になります。
サッシの目地も同様、高圧洗浄機で剥がれたり隙間ができたりすると浸水リスクが高まるため十分注意しなければなりません。
至近距離・上向き噴射による内部への浸入
至近距離から高圧洗浄機の水を噴射すると外壁が傷つき、住宅内部に水が入り込むおそれがあります。
水が建物内部に入り込むと、構造躯体が腐食し建材が劣化したり、カビやシロアリの発生リスクが高まったりします。これらは住宅の耐久性を著しく低下させるため、高圧洗浄機の距離には配慮しなければなりません。
また上向き噴射も換気口や排気口から水が入り、室内の床を濡らしたり断熱材を劣化させるリスクがあります。
汚れムラの発生リスク
高圧洗浄機は汚れムラにも注意が必要です。とくに家庭用の高圧洗浄機は業務用に比べて水量が少ないため、しっかりと外壁を洗浄できていないケースも少なくありません。そのため、汚れが均一に落としきれず、外壁にムラができてしまう可能性があります。
洗剤を使った場合に洗剤を十分に洗い流しきれないと、残った洗剤がシミになり、色ムラにつながるかもしれません。
家庭用高圧洗浄機では汚れムラが発生するからといって業務用を使用することは避けましょう。業務用は外壁を傷つけるリスクが高まるだけでなく、誤って人に当たるとけがの危険性があります。
サイディングに汚れが発生する原因

サイディングはさまざまな汚れが付着します。適切に汚れを落とすには汚れの原因を知っておくことが大切です。
以下にサイディングが汚れる主な要因を挙げるので、自宅の外壁がどの汚れに該当しているかチェックしてみましょう。
雨だれ・コケ・カビの付着
住宅の外壁に目立つ汚れとして付きやすいのが、雨だれ、コケ、カビです。
雨だれはホコリや排気ガスなどの汚れが外壁に付着し、雨によって流れた跡です。雨水の通り道が決まっていると汚れが蓄積し、雨だれとして目立つようになります。
コケやカビは緑色や黒色で広範囲に発生しやすい汚れです。光が当たりにくくジメジメした環境や、周辺に川や池などの水辺がある環境で発生する傾向があります。
これらの汚れはサイディングだけでなく、モルタル外壁やタイル外壁、コンクリート外壁でも起こりやすいのが特徴です。
塗膜の防汚性能の低下
塗膜が劣化すると防水性能だけでなく、汚れをはじく機能も失われます。そのため汚れが付着しやすく、雨だれができやすくなります。
劣化した塗膜は防水性が低下し外壁表面に水が滞留しやすくなるため、カビや苔の発生リスクが高まる点にも注意が必要です。
外壁上のコケが水分を含むことで、外壁が常に湿った状態になり、サイディングにひび割れや反り、腐食などの劣化症状が現れやすくなります。カビは外壁の美観を損なうだけでなく、住む人の健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。
紫外線の影響による劣化
紫外線により塗膜が劣化すると、塗装の色褪せやチョーキングが起こり、汚れのように見えることがあります。
紫外線は人の目には見えませんが、波長が短く強いエネルギーを持っているのが特徴です。この紫外線エネルギーが外壁塗装の色素分子に当たると分子構造を破壊し、色の鮮やかさが失われる「褪色」という現象が起こります。
もう一つ、紫外線が破壊してしまうのが塗料に含まれる樹脂です。樹脂が紫外線により分解され、顔料が粉状になって外壁表面にチョーキング現象として現れます。
チョーキングが起こると外壁に艶が失われ、建物を古く汚れているように見せることもあるでしょう。
自分で高圧洗浄をするデメリット・注意点

ここでは外壁を自分で高圧洗浄する場合のデメリットや注意点を解説します。
少しでもデメリットやリスクを感じる場合は、無理に自分で洗浄しようとせず専門業者に洗浄を依頼するようにしましょう。
洗浄ムラが出やすい
自分で外壁を洗浄すると、強く洗浄された場所と洗浄が足りていない場所ができてしまい、かえって汚れが目立ってしまう場合があります。
洗浄する際は強すぎない圧力に調整したうえで広角ノズルを使用するのが、外壁にダメージを与えないためにも大切です。
ノズルを動かすときにゆっくりすぎると外壁を傷めやすく、反対に速すぎると汚れが残りやすくなります。
適切な速度を保ち、一定の方向に一貫して動かして重なりや隙間ができないように洗浄しましょう。
高所の洗浄が難しい
高所の洗浄は難しいので、高圧洗浄機の使用は避けましょう。高所では高圧洗浄機をうまくコントロールできず、効果的に汚れを落とせないだけでなく、安全面でリスクがあります。
そのため、高い場所の汚れを落としたい場合は、外壁塗装業者に洗浄を依頼することをおすすめします。外壁塗装業者は足場を組んで養生したうえでプロが清掃するため、安全にしっかりと気になる汚れを落としてくれるはずです。
電気設備やシーリングに注意
高圧洗浄機の水は電気設備やシーリングに当てないようにします。外壁周辺にはインターホンや野外コンセント、給湯器、エアコンなどさまざまな電気設備が設置されています。
これらの電気設備に高圧洗浄機の圧力の強い水を直接当てると、内部に水が入り込んで故障や漏電につながりかねません。
また、シーリングに直接強い水流を当てると、シーリングがサイディングボードから剥がれたり亀裂が入ったりして雨漏りリスクが高まるため、ノズルの距離や角度に気をつけて洗浄します。
飛散・水圧による近隣トラブル
外壁を高圧洗浄機で洗浄すると、汚れた水が周囲に飛散する可能性があります。汚れのついた水が隣家の外壁や車、外構を汚してしまうとトラブルの原因となるため注意が必要です。
水の飛散には十分配慮し、水がかかりそうな場所は隣家に承諾を得たうえで養生するなどして対策しましょう。
また、洗浄液が周囲に流れて近隣の環境に影響を与える可能性も否定できません。排水経路を事前に確認したうえで、近隣に影響を及ぼしそうな場所では水洗いのみにすることも大切です。
サイディングの正しい洗浄方法

では、外壁を自分で洗浄したい場合はどのようにすればよいのでしょうか。ここではサイディングを傷つけずに洗浄する方法をお伝えするので、ポイントを押さえておきましょう。
洗浄に必要な道具を揃える
外壁清掃に必要な道具は以下のようなものです。
- ホース
- ブラシまたはスポンジ
- 洗剤、洗浄剤
- バケツ
- ゴム手袋
ブラシやスポンジは柔らかい素材を使用します。高い場所を掃除するために長い柄が付いたタイプがあると便利です。
洗剤はサイディングボード専用を選ぶのがおすすめです。洗剤のボトルに記載されている希釈倍率を守って使用します。洗剤はできるだけ薄めに調節して使用すると外壁を傷めるリスクを最小限にできます。
サイディング洗浄の手順
サイディング外壁の洗浄は次の手順で行います。
【ステップ1】
まず、ホースを使って外壁の表面を水洗いします。上から下に水が流れるように水をかけましょう。このとき、隣家に水がかからないように配慮が必要です。
【ステップ2】
次に洗剤をバケツに入れ、水かぬるま湯で薄めます。ブラシに洗浄液をつけ、サイディングボードを優しくこすります。薄めた洗剤をスプレーボトルに入れて、スプレーしながら使用する方法も便利です。
【ステップ3】
最後にホースで水をかけて洗剤を洗い流します。流し残しのないよう、しっかりと洗い流しましょう。
サイディング洗浄の注意点
サイディングを洗浄するときは洗剤がサイディングボードを変色させたり塗膜に悪影響を及ぼさないか、目立たない部分で使用してみてから全体に使用するようにしましょう。また、外壁を強くこするのはNGです。柔らかいスポンジやブラシで優しく洗ってください。
外壁の掃除は1階から手が届く範囲のみにします。脚立やはしごを使用しての作業は非常に危険です。高い場所を掃除したい場合は費用がかかっても業者に依頼しましょう。
高圧洗浄は塗装とセットがベター

外壁塗装の際には高圧洗浄機でしっかりと汚れを落とす必要があります。高圧洗浄は水道代もかかり、乾燥に時間もかかるため、省略してもよいのでは?と考える方もいるかもしれませんが、以下のようなメリットがあります。
塗料の密着性を高め耐久性が上がる
塗料を塗る前に外壁を高圧洗浄しておくと、外壁表面に付着した汚れが取れ、塗料が外壁に密着して長持ちします。
高圧洗浄を省略したり、不十分な洗浄をしたりして汚れが残った外壁の上に塗料を塗ると、塗料が浮いた状態で外壁を覆うことになります。その状態では塗膜が剥がれやすく、早期に塗りなおしが必要になる可能性も否定できません。
塗料本来の耐久性を維持するには、高圧洗浄機で汚れをしっかり洗い流し、外壁表面をなめらかにきれいにすることが大切です。
汚れだけでなくチョーキングも除去
高圧洗浄は、汚れだけでなく外壁塗装の劣化で発生したチョーキングも除去する効果があります。
チョーキングとは、塗料の成分が紫外線により劣化して塗膜が粉状になる現象です。手で外壁を触ったときに粉が付着してきた場合は、塗膜の防水機能が低下しているサインとなります。
外壁に付着したホコリやゴミと同様、チョーキングによる粉が外壁上に残っていると、新しい塗料が密着しにくくなります。そのため、高圧洗浄機で十分に洗い流さなければなりません。
汚れにくくする外壁塗装のポイント

外壁は常に風雨や紫外線にさらされており、どうしても汚れてしまうため、定期的に塗り替えを行わなければなりません。
しかし、頻繁に外壁塗装をするのは負担だと考える方も少なくないでしょう。そこで、外壁を汚れにくくするためのポイントを紹介します。
汚れの目立ちにくい色を選ぶ
汚れが目立ちにくい色の塗料を選ぶことは、外壁を長くきれいな状態に保つためのコツです。白い外壁は雨だれや煤などの黒い汚れが目立ちやすく、黒い外壁はホコリなどの白い汚れが目立ちやすい傾向があります。
外壁の汚れを目立ちにくくするには、グレーやアイボリー、クリーム色などの中間色がおすすめです。
雨だれや煤などの黒っぽい汚れが気になる場合はグレー、土埃など茶色っぽい汚れが気になる場合はベージュなどの塗料が、汚れが目立ちにくくきれいな外観を維持できます。
セルフクリーニング機能のある塗料を選ぶ
汚れが外壁に定着しにくいセルフクリーニング機能がある塗料で塗装する方法もあります。セルフクリーニング機能がある塗料は「低汚染塗料」や「光触媒塗料」が代表的です。
低汚染塗料は親水性が高い点が大きな特徴で、雨が降ると雨水が壁面に広がり、薄い水の膜をつくります。水の膜が汚れの下に入り込み、浮いた汚れが雨水で洗い流されるので、汚れが外壁に残りにくくきれいな状態を保てます。
光触媒塗料とは光と反応して汚れを分解して落とす機能を持った塗料のことです。塗料に含まれる酸化チタンが紫外線と反応し、有機物の汚れを分解して雨で洗い流します。
光が当たりやすい場所には効果を発揮する一方で、光が当たらない場所では効果が出にくい点がデメリットです。
定期的な点検と再塗装のタイミング
外壁をきれいな状態に保つためには、定期点検と外壁塗装が不可欠です。
外壁の小さな劣化に早く気づけば、建物にダメージを与えるリスクを減らせるほか、部分補修で対応するなど、大がかりな補修に至らずに済むケースもあります。定期点検の実施時期は一般的に外壁塗装工事から1年後、3年後、5年後です。
1年点検では施工不良の有無を、3年点検では劣化の兆候が出ているかどうかを点検します。5年点検では外壁の劣化が起こり始めている可能性があるため、再塗装が必要かどうか検討します。
塗膜は塗料の種類によって耐用年数に幅がありますが、おおむね10年に1度を目安に外壁リフォームを実施するように事前に計画しておきましょう。
外壁塗装業者に依頼したほうが安心
高圧洗浄機は便利な掃除アイテムですが、サイディング外壁には利用できません。外壁の汚れが気になる場合は、ご紹介した方法でスポンジで優しく汚れを取り除くようにしましょう。また、高所での作業は危険ですので、外壁塗装業者に依頼したほうが安心です。
外壁塗装は定期的にメンテナンスすることで外壁だけでなく家屋全体の耐久性を高めるため、新築から8〜12年経過している場合は、まずは無料見積もりを依頼してみることをおすすめします。
古い家の外壁のリフォームはリメイクホームにおまかせください!
今回は、古い家の外壁の種類、外壁塗装・リフォームの方法、注意点などをお伝えしました。
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