
「屋根塗装は意味ない」という言葉を見聞きしたことはないでしょうか。インターネットで検索しても「屋根塗装は意味がない」という情報と「屋根塗装をするべき」という情報があり、混乱する方も少なくないでしょう。
結論から言えば、屋根塗装は素材や屋根の状態により意味がないケースと、塗装が推奨されるケースがあります。この記事では、屋根塗装で失敗しないための判断基準を解説します。
このページでわかること
屋根塗装は意味ないと言われる理由

では、屋根塗装が意味ないと言われるのはなぜでしょうか。まずは塗装が意味がないと言われる理由を紹介します。
以下に当てはまる場合は塗装以外の補修方法を選択することになります。
塗装が不必要・NGな屋根材がある
屋根材には塗装が不要なものが存在します。塗装が不要な屋根材の代表格が日本瓦などの粘土瓦です。粘土瓦は、瓦の形に成形した粘土を1000度以上の高温で焼き上げます。
粘土瓦は表面に釉薬をかけた陶器瓦と、いぶし焼きのいぶし瓦に分けられます。高温で焼成されるため、風雨や太陽熱に強く、50年以上の耐用年数があり、基本的に塗装などのメンテナンスは不要です。
そのほか、アスファルトシングルやジンカリウム鋼板の屋根は表面に自然石の粒が吹き付けられているため、塗装は不要とされています。
屋根塗装を行っても耐久性は向上しない
屋根塗装は屋根表面の塗膜を保護するものであり、屋根材自体の耐久性を劇的に向上させることはできません。 屋根材の劣化が大きく進んでいる場合は、屋根塗装だけでは十分な効果が得られず、より大規模な修繕が必要になります。
具体的にはクラックや反り、表面剥離が進行している場合、屋根材の寿命とされる30年を超えている場合は、劣化が素材にまで進行しているため塗装では補修の効果は見込めません。
劣化が進んでいると工事が必要
屋根材の劣化が大きく進んでいる場合は塗装では解決できないため、葺き替え工事またはカバー工法で修繕します。
屋根の葺き替え工事は、既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材に交換する工法です。屋根を取り除くので内部の点検ができるほか、下地や防水シートの交換もできます。
屋根のカバー工法とは、既存の屋根の上から新しい屋根材を重ねて施工する工事です。既存屋根を撤去しないため、屋根材を取り除く作業と廃材が発生せず、費用を抑えられます。
施工不良によるトラブルが生じることがある
業者の知識不足により施工不良が発生し、屋根塗装は意味がないと感じることもあるでしょう。
塗料を規定以上に薄めたり、完全に乾く前に塗装したりする手抜き工事が行われると、塗膜が早期に剥がれるなどのトラブルが起こりやすくなります。
屋根材のなかには素材自体が脆く、塗装工事の一連の作業により破損するリスクが高い製品も存在します。そのような屋根材に塗装工事をして「かえってダメージが広がってしまった」と後悔するケースも珍しくありません。
そのほか、メーカーがメンテナンス不要品として塗装を推奨していない製品に塗装した場合、保証の対象外となるケースがあるため、注意が必要です。
屋根塗装が意味ない屋根材

ここでは屋根塗装が意味ないとされている屋根材を紹介します。
目的や劣化の状態によっては塗装が必要なケースもあるため、住まいの屋根材が該当している場合は、塗装の可否を確認しておきましょう。
粘土瓦
粘土瓦は基本的に塗装しても意味がありません。高温で焼成されているため、優れた防水性と耐火性を備えているためです。
釉薬瓦は表面がガラス質でコーティングされており、耐水性が非常に高い素材です。いぶし瓦も塗装の必要がないメンテナンスフリーの屋根材とされています。
注意点は、粘土瓦自体はメンテナンス不要で50年もの耐用年数があるとされていますが、瓦葺きをする際に使用する漆喰は、定期的にメンテナンスしなければなりません。
また、セメント瓦、モニエル瓦は水が染み込みやすいため、定期的な塗装工事が必要です。
スレート屋根
スレート屋根の塗装は、防水対策と美観維持の目的では意味がありますが、屋根材の耐久性を向上させるメンテナンスとしては、塗装では不十分なケースも少なくありません。
スレート屋根はセメントに繊維質を混ぜて板状に成形した、新築住宅で人気の屋根材です。しかし定期的なメンテナンスを行っても30年程度で寿命を迎えることも多く、コストパフォーマンスはやや低い屋根材であるとも言われています。
劣化が進んだスレート屋根の塗装は、耐久性を向上する目的では意味がありません。塗装が必要なのは、屋根の色あせやコケ・カビが気になったときに防水性と美観を向上させるために行う場合です。
金属屋根(ガルバリウム)
金属屋根のなかでもガルバリウム鋼板は塗装が不要と言われることがあります。その理由は、アルミニウムや亜鉛、ケイ素によって施されたメッキ成分が、サビに対して強い耐性を持っているためです。
また、このメッキにより表面がツルツルした状態になっており、塗料が乗りにくい点も塗装が推奨されない理由の一つです。
ただし、メッキ層が剥がれたり傷ついたりするとサビが発生しやすくなるため、塗装することでサビの発生を抑制できます。塗膜に劣化症状が見受けられる場合やサビが発生した場合は、塗装を検討しましょう。
アスファルトシングル
アスファルトシングルは、劣化の具合と目的によって塗装の可否が変わります。ただし基本的にアスファルトシングルへの塗装は耐久性向上効果は期待できません。
アスファルトシングルに塗装すると、塗料で屋根材の重なり部分の隙間を埋めてしまい、排水が妨げられます。縁切りという作業で重なり部分に切り込みを入れますが、再現が難しく不十分だと雨漏りの原因になります。
また、通常の屋根塗装では油性(溶剤系)塗料を使用できますが、アスファルトは溶剤で溶けてしまうため、水性塗料しか使用できません。
一方、汚れや色あせが気になる場合は塗装によって美観を向上できます。また、表面の石粒の剥離が気になる場合は塗装により石粒の剥離を防げます。
屋根塗装を検討すべき劣化症状
塗装ができない素材や大きな劣化がある素材は屋根塗装では対応できません。しかし、表面の塗膜に劣化症状が現れている場合は、塗装でメンテナンスが可能です。
一般的なスレート屋根や金属屋根では、以下のような症状が現れていたら塗装を検討してください。
色あせや変色
塗装の色あせや変色は塗膜が劣化しているサインです。緊急性はないですが、放置していると劣化が進み深刻な症状を引き起こす可能性があるため、早めに塗装工事を依頼しましょう。
屋根塗装の変色は、紫外線が顔料を分解することで起こります。これは外壁塗装でも起こることですが、太陽光が当たりやすい屋根では特に発生しやすい現象です。
また、塗膜の汚れをはじく機能が低下すると、排気ガスや汚れの付着により、変色したように見えることもあります。
藻・コケ・カビの発生
塗膜の防水機能が切れると屋根材が水を吸い込みやすくなり、コケやカビが発生しやすくなります。コケやカビは美観を損ねるだけでなく、水分を溜め込みやすい点に注意が必要です。
コケやカビが水分を保持することで屋根材が常に湿った状態になり、屋根材の劣化を早め、ひび割れなどの深刻な劣化症状を起こしやすくなります。
コケが成長して厚みをもつと、雨水の排水を妨げ、下地材の腐食や雨漏りリスクが高まる点も見逃せません。深刻化して大がかりな屋根の修繕工事になる前に塗装工事をして屋根を保護しましょう。
塗膜のはがれ・膨れ
塗膜のはがれや膨れが起こっている場合は早急に屋根塗装が必要です。はがれや膨れは屋根材に塗膜が密着しておらず、塗膜が屋根材を保護できていないことを示しています。
塗膜がはがれた部分は屋根材が露出しており、下地材に直接雨水が当たるため、劣化が早まるほか、雨漏りリスクが高まります。
スレート屋根はセメントを主な原料としているので、水を吸収しやすい素材です。金属屋根は空気と酸素に触れるとサビが発生し、素材そのものを脆くしてしまいます。
放置していると部分的な修理では対応できず、屋根材をすべて交換する必要があるため、塗装工事を行い、屋根材を塗膜でコーティングすることが大切です。
屋根塗装を検討するときの注意点

屋根塗装を検討する際は、いくつか注意しておきたい点があります。
特に屋根材の種類や状態によっては塗装が逆効果になることもあるため、当てはまる点がないかしっかりチェックしておきましょう。
ノンアスベスト初期製品は塗装NG
スレート屋根は一般的に定期的な塗装によるメンテナンスが必要です。しかし、1996〜2008年頃に製造された初期のノンアスベスト屋根材は素材が脆いため、塗装できません。
表面が緻密で塗料の吸収性が低いため塗装に向いていないほか、劣化が進むとミルフィーユのように層状に剥がれていく「層間剥離」が起こり、衝撃に弱く塗装工事で屋根の上を歩くだけで破損する可能性があるのがその理由です。
そのため、ノンアスベスト初期製品のメンテナンスは、カバー工法または葺き替え工事のいずれかを選択することになります。
割れ・反り・層間剥離がある
屋根材に大きなダメージが生じている場合は塗装では効果を得られず、意味がありません。屋根塗装はあくまでも屋根材の表面を保護するためのメンテナンスです。
屋根材が内部まで劣化している場合は塗装しても改善は見込めません。 屋根に次のような症状が現れている場合は塗装ではなくカバー工法や葺き替え工事を選択します。
- 広範囲にわたって割れや剥がれがある
- 屋根材が層状に剥がれる層間剥離を起こしている
- 防水シートと下地材が腐食している
- 雨漏りが発生している
築年数がまだ浅い
築年数が浅い住宅の屋根は屋根材の塗膜がまだ機能しているため、塗装してもあまり意味がありません。
一般的に塗料の耐用年数である10〜15年を経過していない場合は、再塗装をしなくても問題ないといえるでしょう。
ただし、海沿いの地域や日差しが強い地域では塗膜の劣化が早まるため、通常よりも早く劣化症状が現れる可能性があります。塗装から10年経過していないのに劣化症状が現れた場合は塗装を依頼しましょう。
塗装が必要な屋根材は、定期的に塗装工事を行っていれば不具合は発生しにくくなります。大きなトラブルを避けるためにも適切なタイミングでメンテナンスしておきましょう。
機能回復なら屋根材自体を変えるリフォーム

大きく劣化した屋根材の機能性を高めるためには、塗装ではなく屋根リフォームが必要です。
屋根リフォームは上でも紹介しましたが、カバー工法と葺き替えの2種類があります。
屋根カバー工法
カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる工法です。カバー工法に使用される屋根材は多くの場合、軽量なガルバリウム鋼板を使用します。
カバー工法のメリットは、既存の屋根の解体作業がないため、廃材がほとんど出ない点です。作業日数の少なさと廃材処理費用がかからないため、葺き替え工事に比べてリーズナブルに屋根の修繕ができます。
カバー工法により、屋根が二重になることで断熱性と遮音性もアップするでしょう。 ただし、カバー工法は下地の補修が必要なほど屋根が傷んでいる場合は施工できません。
屋根葺き替え工事
屋根の葺き替え工事は既存の屋根を撤去し、新しい屋根材に葺き替える工事です。 葺き替え工事では、屋根材だけでなく、屋根の下にある防水シートと下地の野地板も交換します。
経年劣化が激しい場合や雨漏りが起こっている場合は、部材を一新することにより問題を解決できる点が大きなメリットです。 屋根材の種類も変更できるため、軽量の屋根材に交換して住宅の耐震性を高められます。
そのため、重量のある瓦屋根から軽量のガルバリウム鋼板に変更する工事で、躯体への負担を軽減するケースも珍しくありません。
一方で、葺き替え工事は大がかりな改修となるため、工期が長く、廃材も多く出ます。ただし、リフォーム費用が高額になる点は理解しておきましょう。
屋根塗装を「意味ある工事」にするための業者選び

屋根塗装は必要な場合に適切に行わなければ、意味のない工事になってしまいます。不必要な工事を避け、必要な工事を行うためには業者選びが重要です。
ここでは、屋根塗装で優良業者を選ぶためのポイントをお伝えします。
屋根点検を実施してくれるか
屋根塗装を依頼する際は、屋根点検を実施したうえで見積もりを出してくれるか、事前に確認しておくと安心です。
多くの業者が屋根の無料点検を実施してくれますが、写真を撮影してくれるか、雨漏り調査などの詳細な点検をしてくれるかは、確認しておいた方がよいでしょう。
悪徳業者のなかには点検時の写真を見せずに、嘘の報告で不安をあおる場合があります。
悪徳業者に狙われないためにも、屋根の状況を写真で見せてくれる業者を選ぶようにしましょう。
縁切り・タスペーサーなどの工程説明が明確か
屋根塗装工事の見積りの際に縁切り・タスペーサーなどの工程説明をしっかり行う業者は、信頼できるといえます。
縁切りとは屋根材が重なり合った部分の塗膜を切って隙間を作り、水の通り道を作る作業です。
従来はカッターや皮スキにより縁切りを行っていました。しかしこの方法は手間がかかるうえに塗装後に行うため、傷がついたり塗装が剥がれるなどデメリットが多くありました。
現在では塗装前に挿入することで縁切りができるタスペーサーを使用するのが主流です。これらの工程は、雨漏り防止と屋根の耐久性維持に不可欠なため、適切に説明できる業者を選びましょう。
屋根材に合った塗料の選定ができるか
業者を選ぶ際は、屋根材に合った塗料の選定ができる、専門知識の高い業者を選ぶことが重要です。
素材に合っていない塗料で塗装してしまうと、短期間で不具合が起きてしまう可能性があるため、長持ちさせるためにも相性の合う塗料を選ばなければなりません。
なかには使用できる塗料が限られている屋根材もあるため、価格だけで選ばずに推奨されている塗料を選択する必要があります。
塗料のカタログに適している屋根材が記載されているので、自分でも確認しておき、業者と相談しながら決めると安心です。
塗布量・工程がメーカー仕様に準拠しているか
塗装工程が塗料メーカーの仕様を守って行われるのか事前に確認すると、手抜き工事を防げます。
外壁塗装・屋根塗装は、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが基本です。塗料メーカーも建物を塗膜でしっかりコーティングするために塗装回数を指定しています。
手抜き業者は多くの場合、中塗り工程を省きます。これは仕上がってしまえば簡単には手抜きが見抜けないためです。 このようなことを防ぐためにも、見積書に塗装の工程を確認してください。
見積書に作業内容が詳細に記載されているかを確認することは、業者を比較検討する際に非常に役立ちます。分からないことは都度業者に質問して、明確に回答してくれる業者と契約するようにしましょう。
屋根塗装に関するよくある質問

ここでは屋根塗装に関してよくある質問とその回答を紹介します。
屋根工事は高額な工事です。あらかじめ疑問を解消したうえで納得のいく施工を依頼すると、失敗を防げます。
屋根塗装は自分で施工できる?
屋根塗装を個人で行うことはおすすめできません。高所作業のため、転落事故のリスクが高く、しっかりとした足場と専門知識がなければ品質の悪い仕上がりになり、屋根塗装による効果が期待できない可能性があります。
足場だけ専門業者に設置してもらい、自分で行えば良いと考えることもあるかもしれませんが、足場は設置後も点検の実施など、安全確保のためのさまざまなルールが定められています。
確かに屋根用の塗料はホームセンターなどで手に入りますが、非常に危険なため、作業は業者に依頼しましょう。
屋根塗装で雨漏りは止まる?
屋根から雨漏りが起きている場合、屋根塗装だけでは根本的な解決にはなりません。屋根塗装は雨漏りを予防するための工事であり、雨漏りを直す工事とは異なります。
雨漏りを補修する場合は屋根診断をして原因を特定したあと、原因に応じた対策を行います。
例えば、屋根材にひび割れや隙間ができている場合はシーリングなどで隙間を塞ぐ工事を行います。防水シートの劣化が発覚した場合は、防水シートの張り替えなどの防水工事が必要です。
スレート屋根は屋根塗装が不要って本当?
スレート屋根は水を吸収しやすいセメントでできているため、定期的な塗装が必要です。ただし、初期のノンアスベストスレートなど、一部例外的に塗装が不適切な素材があります。
最近の新築住宅では使用されなくなったとはいえ、既存の住宅に施工されているケースもあるため、住まいの屋根がどのような素材か業者に確認してもらい、適切な方法で補修を行うようにしてください。
一般的なスレート屋根の場合は、塗装から10〜15年おきのタイミングで塗装工事を行っておくと、大きな劣化を防げるため、事前にリフォーム計画を立てておくのがおすすめです。
屋根塗装はリメイクホームにおまかせください!
屋根塗装は屋根材により、塗装が必要な場合と不必要な場合があります。塗装が必要な屋根材は定期的な塗り替えを行うことで防水機能を保ち、建物を雨水から守ってくれ、大きな劣化を防ぐ効果が期待できます。
塗装工事は専門的な知識を必要とするので、信頼できる業者を見つけることも重要です。
見積もりの際は業者の施工事例をチェックするほか、相見積もりを利用して業者を比較検討して決めるようにしましょう。
私たちリメイクホームは、愛知県を中心に外壁塗装や屋根塗装、リフォームを手がけています。
お見積もりやお問い合わせは、ぜひお気軽にご連絡ください!







