
漆喰はその優れた耐火性、防水性、耐久性から日本の城郭や蔵などの壁や瓦屋根の接着として古くから使われてきた建築材料です。現在でも左官技術によって平坦で美しく仕上げられた漆喰外壁は高級感があり、人気があります。
しかし、漆喰壁は通常の外壁とは異なり、アクリル樹脂塗料などの一般的な塗料と相性が悪く、数年で剥がれてしまうことがあります。この記事では、漆喰壁に適した外壁塗装や補修方法について解説します。
このページでわかること
漆喰壁は塗装できる?

まずは、漆喰壁は塗装が可能かどうか解説します。結論から言えば可能ですが、どんな塗料でも使用できるとは限りません。
失敗を防ぐためにも塗装可能な条件や漆喰壁の性質を整理しておきましょう。
漆喰壁は「条件付き」で塗装可能
既存の漆喰外壁に塗装をする場合は、漆喰専用の塗料とシーラーを使用しなければうまく密着しません。
ひび割れが軽微な状態など、劣化が限定的で下地の状態が良い場合であればそのまま塗装できますが、下地の状態が悪いと塗料が密着しにくいため、補修をして下地を整えてから塗装します。
表面の剥がれがひどい場合は塗装では対応できず、漆喰の塗り替えが必要です。基本的には塗装業者に壁面を診断してもらい、適切な施工方法を選びます。
漆喰壁の性質(強アルカリ性・調湿性)
漆喰は天然の石灰石からできる消石灰(水酸化カルシウム)を主原料としているため、pH12以上の強アルカリ性に分類されます。強アルカリ性の環境ではほとんどの生物が生存できません。そのため、抗菌・防カビ効果に優れています。
漆喰のもう一つの性質は、湿度が高い時には湿気を吸収し、乾燥している時には湿気を放出する調湿性です。表面に無数の穴があいている多孔質構造であるため、湿気をコントロールして適切な湿度に保つ効果があります。この調湿効果により、結露やカビの発生を防ぎます。
漆喰は化学物質を含まない内装材としても人気です。ビニールクロスよりも高額ですが、消臭効果がありホルムアルデヒドの放出の心配がないため、安全なお部屋の環境を維持できます。
塗装できない漆喰壁の状態とは?
漆喰壁が塗装できるのは、劣化が軽度な場合に限られます。次のような症状がある場合は塗装してもすぐに塗料が剥がれてしまう可能性があります。
- 漆喰が粉をふいた白華現象(チョーキング現象)が進行している
- 表面が浮いている
- 剥がれている
- 大きなひび割れが発生している
- ひび割れから雨水が浸入し雨漏り
- 内部結露が起こっている
このような場合は補修や下地処理をしたうえで塗装するか、漆喰の塗り直しをするか判断します。
塗装と塗り直し(漆喰補修)はどう違う?
漆喰壁の「塗装」は、専用塗料を薄く塗るメンテナンス、「塗り直し」は再度漆喰を塗る修復です。
塗装は一般的な外壁塗装と同じようにローラーや刷毛などで施工します。薄い塗膜で表面を覆うため、軽微な汚れや色褪せを改善するのに適しています。
一方、漆喰の塗り直しはコテを使って塗りつけていきます。コテで表面を平滑に仕上げるのは至難の業です。左官職人の熟練の技術によって美しい表面に仕上げるため、費用が高く、施工時間もかかります。
漆喰壁に適した塗料の条件とは?

漆喰壁は通常の外壁塗料では塗装できません。通常の水性塗料は外壁に密着しにくく、1~2年ほどで剥がれてしまいます。漆喰壁には以下の性質を持つ専用塗料を選ぶ必要があります。
耐アルカリ性がある
漆喰はpH12以上の強アルカリ性です。通常の塗料は相性が悪くはがれやすいため、耐アルカリ性の塗料を選ぶ必要があります。
耐アルカリ性のある漆喰壁専用塗料はいくつかのメーカーから発売されていますが、その多くが漆喰そのものを塗料化したものです。そのため、既存の漆喰壁の塗り替えに適しています。
これらの専用塗料はホームセンターやネット通販でも購入でき、ほかの塗料と同じようにローラーで塗ることができます。
透湿性がある
漆喰用塗料は透湿性や調湿性があることも重要です。空気を通す機能がないと、漆喰本来の調湿機能が失われてしまいます。
透湿性のある塗料とは、雨は通さずに湿気を通す塗料です。壁内部の湿気を外に逃がすため、結露の発生を防ぐ働きがあります。
漆喰壁には調湿機能があるため、湿度に合わせて湿気を吸い込んだり放出したりしています。このような呼吸する壁には、塗料も呼吸する機能を持っていることが重要です。
つや消し塗料が推奨される理由
漆喰壁に使用する塗料は、その風合いを損なわないつや消しタイプがおすすめです。つや消しなら仕上がりも自然で、落ち着いた雰囲気を維持できます。
マットな外壁は高級感があり、落ち着いた印象を与えます。光を反射しないため、陰影が強調され、住宅全体に立体感を与える点も魅力です。
漆喰の壁は左官職人による手仕事の風合いが、上品で高級感のある空間を演出します。熟練の職人によって施工された漆喰には、落ち着いた仕上がりの塗料が推奨されています。
漆喰壁を塗装する前の注意点

漆喰壁を塗装する際は、いくつかの注意点を守らないと施工不良を起こしたり、かえって劣化が広がったりしてしまいます。
特に以下で紹介する壁面のチェックや下地処理をしっかり行うことが、きれいな外壁に仕上げるコツです。
施工前の状態チェックが最重要
漆喰壁を塗装する際は、施工前に外壁の状態を診断しておく必要があります。下地の状態が悪いまま塗装すると、すぐに塗装が剥がれたり、内部の劣化が進行する原因となります。
そのため、現地調査をしっかり行ったうえで、工事のプランと見積もりを提案する業者に依頼した方が施工不良を避けられ、外観もきれいに仕上がるはずです。 業者は外壁の状態をチェックし、劣化箇所を適切な方法で補修をしてから塗装を行います。
下地処理(清掃・補修・シーラー)
漆喰壁の塗装は下地処理が重要です。下地処理を怠ると剥がれの原因になるだけでなく、劣化が内部で進行してしまうおそれがあります。
下地処理ではまず、表面の埃や汚れをきれいに掃除します。表面が汚れていると塗料の密着性が低下するため、しっかり洗浄しなければなりません。頑固な汚れは洗剤などを使用してきれいに落とします。ひび割れている部分は補修材を埋め込むなどの対応が必要です。
補修がすべて完了したら、漆喰専用のシーラーなどの下地材を塗ります。下塗りの翌日以降に上塗り材を塗って完成です。
漆喰外壁のよくある劣化症状と対処法

100年もつともいわれる漆喰壁ですが、当然劣化や汚れが起こります。特に白い漆喰壁は汚れが目立ちやすいため、こまめなメンテナンスが欠かせません。
ここでは、漆喰外壁で起こりやすい劣化症状とその対処方法を紹介します。
軽い汚れ
白い漆喰壁は少しの汚れやシミが非常に目立ちます。しかし、軽い汚れであれば身近な道具で落とせるので、試してみるとよいでしょう。
部分的な汚れの場合は、消しゴムでこするだけで落とせます。または固く絞った雑巾で拭くと落ちることもあります。
消しゴムや水拭きでは落ちない頑固な汚れはメラミンスポンジが有効です。水で濡らしたメラミンスポンジで優しくこすりましょう。それでも落ちない場合は細かい目のサンドペーパーで優しくこすると落とせる可能性があります。
カビやコケ
漆喰は調湿効果を持つ素材ですが、日陰やジメジメした環境ではカビやコケが発生することも少なくありません。
カビやコケには塩素系漂白剤が有効です。塩素系漂白剤を水で薄め、柔らかい布に付けて拭き取ります。塩素系漂白剤は原液を漆喰にかけると表面を傷めてしまうため、薄めて使用することが大切です。
また、使用の際は、ゴム手袋とメガネを着用のうえ、たとえ屋外であっても風通しの良い場所で行いましょう。
なお、アルカリ性の漆喰には酸性の洗剤は使用できません。表面が溶けてしまうおそれがあるため、洗剤の成分を事前に確認しておくことが大切です。
色汚れ
外壁に付着する色汚れにはさまざまなものがあります。カビや砂埃、排気ガスなどの油汚れが代表的です。
カビによる色汚れは上でもご紹介した通り、塩素系漂白剤で落とせます。砂埃や泥はねは乾いたブラシでこすればきれいになるでしょう。
排気ガスのような油汚れは、重曹と水を混ぜて作った重曹ペーストを壁面に塗布し、5~10分置いて吸着させます。その後乾いた布で拭き取ります。
色ムラ
漆喰壁は色ムラができることがあり、色付きの漆喰だとムラが目立つことがあります。色ムラの原因は施工時の気温や乾燥条件などです。
代表的な色ムラが白華現象です。漆喰が乾燥する過程で水分とともに内部の石灰成分が表面に浮き出て、白い粉として現れます。特に気温の低い冬季の施工や雨がかかる場所で乾燥が遅い場合に発生しやすい現象です。
色ムラが気になる場合は塗り直しをすることになりますが、工期の都合で塗り直しを望まない場合は、トップコートで補修する方法もあります。 また、色ムラを防ぐため、スピーディーに均一に施工できる熟練の職人に依頼することも大切です。
浮き
外壁のひび割れの隙間から雨水が浸入すると、漆喰の浮きや剥がれが発生することがあります。また、雨が跳ね返りやすい地面近くも雨水の影響で漆喰がはがれやすい環境です。
漆喰の剥がれは補修しなければどんどん広がっていくので放置は厳禁です。早めに業者に連絡し、現地調査を依頼しましょう。
漆喰が剥がれた場合、専用の下地材でへこんだ部分を埋め、平坦な状態にしてから仕上げ材の漆喰を塗ります。浮きの面積が広い場合は劣化が進んでいることが想定されるため、劣化した漆喰を剥がして塗り直しが推奨されることもあります。
クラック(ひび割れ)
漆喰はひび割れしやすい素材です。乾燥収縮や経年劣化、地震の揺れなどでひび割れしてしまいます。ほかの外壁材に比べて柔らかいので、強い衝撃でも傷がつき、ひび割れにつながってしまうことがあります。
ひび割れの補修は、ひびを削って形を整え、パテなどの補修材を埋め込み、表面を平坦にする、という流れで行います。
補修はひびの深さや大きさに応じて適切な方法を選択しなければなりません。自己判断せずに専門業者に状態を見てもらい、補修してもらうことをおすすめします。
漆喰の外壁を補修する場合の費用と工期目安

ここでは漆喰の外壁をリフォームする際の費用と工事期間の目安をご紹介します。 補修の内容によって費用も大きく変わるので、外壁の状態をチェックして、どちらを選ぶべきか検討してみましょう。
既存の漆喰に塗装をする場合
既存の漆喰壁に大きなダメージがない場合は塗装でのリフォームが可能です。漆喰壁の塗装費用の相場は、1㎡あたり約3,000~3,500円です。
塗装は下地処理、下塗り、中塗り、上塗りの工程で施工します。中塗り、上塗りは漆喰塗料を2回塗るのが基本です。工事期間は塗装作業だけであれば3~7日程度で完了します。
漆喰専用の塗料のほかに、ジョリパットのような漆喰風の外壁塗料も存在します。耐用年数が長く、漆喰と同様にコテでさまざまな模様のパターンを表現できる点が魅力です。
カラーバリエーションも豊富なので、自然素材の漆喰にこだわらず漆喰の雰囲気を外壁にデザインしたい場合は、検討してみるとよいでしょう。
既存の漆喰を補修する場合
既存の漆喰壁にひび割れがある場合は補修が必要です。ひび割れが表面のみにある場合は漆喰の重ね塗りをします。重ね塗りの費用は1㎡あたり約5,000円が目安です。
深いひび割れが多い場合や下地が見えてしまっている場合は漆喰を撤去し、下地から塗り直します。塗り直しの費用相場は約8,500~30,000円です。
漆喰の種類によって価格は異なり、伝統的な漆喰は高価で単価が1万円以上しますが、工場で石灰や海藻のりなどを配合済みの製品は比較的安価に施工できます。
漆喰の補修は、コテを使い左官技術を駆使して仕上げます。工期は補修箇所の数や大きさ、深刻度によって変わり、3日~3週間程度が目安です。
漆喰壁塗装で後悔しないための判断ポイント

漆喰外壁塗装は高額なうえ、塗料選びや施工方法を間違えると早期に劣化して後悔するケースがあります。 そのため、塗装が本当に適しているのか、どのような施工方法が求める性能に合っているか吟味する必要があります。
塗装が最適解とは限らない
漆喰のリフォームは必ずしも塗装が最適とは限りません。 外壁のダメージが激しい場合は通常、漆喰の塗り直しを選択し、既存の漆喰を剥がして新たに施工し直します。ただ、塗り壁の施工はコストがかかるうえ、漆喰は汚れやすいというデメリットがあります。
その場合は、既存外壁の上から金属サイディングで覆うカバー工法がおすすめです。カバー工法は漆喰特有の外観や機能性は失われますが、施工から20年は塗装不要など、メンテナンスの手間が軽減します。
そのほか、漆喰外壁をモルタル下地から剥がし、サイディング外壁に変更する張り替え工事という選択肢もあります。
漆喰の外壁塗装はDIYでできる?
専用塗料を使った漆喰の外壁塗装はDIYでも可能です。塗料やローラー、養生シートなどの基本的な材料と道具があれば初心者の方でも塗装できます。
ただし、粉がふいている場合やひび割れがある場合、汚れが大きい場合は丁寧な下地処理が必要なため、業者に依頼した方がよいでしょう。
また、本漆喰は強アルカリ性のため、素手で触ると手荒れや目に入ると失明のおそれがあります。
それだけでなく、高所作業は非常に危険です。手が届く範囲の部分的な補修はDIYでも可能ですが、広範囲や高所を塗装したい場合は無理せずにプロに任せましょう。
漆喰塗装を依頼する場合の注意点

漆喰塗装を成功させるにはいくつかの注意点を心得ておく必要があります。後悔しないためにも安心して長年にわたって外壁を任せられる業者に依頼し、リスクを最低限に抑えましょう。
施工実績が豊富な業者を探す
漆喰や土壁の施工は、外壁だけでなく室内の施工も経験豊富な業者に依頼することが大切です。漆喰は下地との相性が合わなければうまく壁面に接着せず、早期に剥がれてしまいます。
そのため、適切な下地材と塗料選びが欠かせません。また、環境や厚みによっては硬化が遅れるため、長年の経験による状況判断も必要です。
コテで施工する場合には熟練の技が必要であり、意匠性も職人の腕によって異なります。建物をこだわりの空間にするには、建材の知識が豊富で技術力の高いプロに依頼するようにしましょう。
塗装できない場合の代替提案があるか
漆喰壁は壁面の状態によっては塗装では対応できない場合があります。塗り直しでは費用が高額になるなど、条件に合わないケースもあるでしょう。その場合、漆喰風の塗料で見た目の質感を維持する、カバー工法で外壁を一新するなどの方法があります。
業者選びの際は、このような要望や問題点を調整し、代替案を提案してくれる業者がおすすめです。
リフォーム計画の早めの段階から業者に相談しておくと、予算やライフスタイルに合わせて適切な提案をしてくれるので、気軽に業者に相談してみることをおすすめします。
相見積もりで比較する
外壁塗装は相見積もりを取るのが基本です。外壁工事や建築工事などの建設工事は定価がないため、費用相場を把握するためには複数の業者の見積もりを比較する必要があります。
複数の業者から見積もりを取ると、高額な施工費用を請求する悪質業者と契約するリスクを減らせる点もメリットです。 外壁工事を準備し始めたら、気になる塗装業者の無料問い合わせフォームから問い合わせてみましょう。
お悩みや質問に対して迅速に丁寧に回答してくれる業者3社程度に現地調査と見積もりを依頼します。 その中から費用、保証の充実度、担当者の説明の丁寧さなどを総合的に見て1社に決めると失敗を防げます。
外壁のリフォームはリメイクホームにおまかせください!
漆喰壁の塗装は使用できる塗料が限定され、下地の状況に応じた施工が必要です。劣化の進行具合によっては塗装で対応できない場合もあるので、業者とよく相談して補修方法を検討しましょう。
カバー工法やほかの素材を取り入れる場合はサンプルをしっかり確認し、メリットとデメリットを理解したうえで最適なものを選択すると、後悔のない工事ができるはずです。
私たちリメイクホームは、愛知県を中心に外壁塗装や屋根塗装、リフォームを手がけています。
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