外壁塗装で失敗しないための「無機 vs フッ素」徹底比較

 

フッ素の誤解を正す—“最強”と言われたフッ素が、なぜ住宅では王者になれなかったのか

外壁塗装の世界では長年、「フッ素=最強の塗料」 と言われてきました。

これは大きく間違ってはいません。
フッ素樹脂そのものは、ざっくり言うと

「とても壊れにくい、超・丈夫なコーティング」

だからです。

ただし「本物のフッ素」と「住宅用フッ素」は、まったくの別物
ここを混同してしまうと、塗料選びで簡単に失敗してしまいます。

では、なぜ今の住宅では “無機(シロキサン)塗料” が最上位になったのか?
そこには、一般の方には見えにくい “住宅市場ならではの事情” があります。

背景①:本物のフッ素は“高級すぎて、住宅には回ってこなかった”

本物のフッ素樹脂塗料は、もともと

  • 航空機
  • 大きな橋(橋梁)
  • 工場・プラント設備

など、壊れたら命に関わるような場所 のために開発された塗料です。

価格も完全に“プロ用”で、

一斗缶で 十数万円〜二十数万円クラス

一般住宅に使うと、塗料代だけで +80〜150万円 くらい増えてしまう

というレベルになります。これに足場代や人件費が加われば使用することが出来ないということが分かります。

つまり現実的には、「最強だけど、一般住宅には高すぎて使えなかった」

これが、本物のフッ素が住宅で広がらなかった一番の理由です。

背景②:住宅向けの “安いフッ素(フッ素風シリコン)” が登場して混乱

住宅市場では長年、「フッ素=最強」というイメージが広がっていたため、メーカー側は“フッ素”というブランド力を維持しながら価格を下げる必要がありました。

そこで、多くのメーカーが シリコン樹脂を主成分とし、ごく少量のフッ素成分を添加した塗料 を販売し始めます。

内容としては次のような構造です。

主成分はシリコン樹脂

フッ素成分は 0.1〜3%程度の添加にとどまる

さらに補足として、次の事実があります。

※2010年までは、建築塗料用でもフッ素樹脂のJIS規格が存在していました。
(主剤の溶剤可溶分中にフッ素樹脂が15%以上:現在は廃止)

また、現在主流の水性タイプでは実膜厚がシリコンと大きく変わらず、価格を下げる一因にもなっています。

※塗膜の厚さは、一般住宅向けのアクリル・シリコン・フッ素の間で大きな差が出にくいという特性があります(比重によって若干の違いが出る程度)

このため、住宅用として販売されている“フッ素塗料”の多くは、実質的にはシリコンの延長線上にあるもので、名前だけがフッ素という状態になっています。

これが 本物のフッ素樹脂塗料(高耐候・高価格)と、住宅用フッ素(低配合)との大きなギャップ です。

市場には “フッ素の名前をつけたシリコン” が広く流通し、フッ素という名称だけが先行する状況を生んでしまいました。

お客様の誤解が一気に広がりました。

背景③:“無機(シロキサン)”が、住宅にちょうどよかった

そんな中で研究が進み、注目されたのが 無機(シロキサン)塗料 です。

「シロキサン」という言葉は難しく聞こえますが、

イメージとしては

“ガラスに近い骨格を持った塗料”

と考えていただくと分かりやすいです。

ガラスって、太陽の光(紫外線)でボロボロになったりしませんよね?
シロキサンも同じように、

  • 紫外線にとても強い
  • 白く粉をふきにくい(白亜化しにくい)
  • 水性でも性能が出しやすい
  • 住宅に必要な塗膜の厚みを作りやすい
  • 価格も「本物フッ素」ほどバカ高くない

といったメリットがありました。

つまりまとめると、

「住宅に必要な“長持ち・価格・施工性”のバランスが一番いい」

それが無機(シロキサン)だった、ということです。
ここから各社が一斉に 無機塗料の開発 に動きました。

背景④:宮古島の暴露試験で、“市販フッ素より無機が上”とハッキリした

塗料メーカーは、実際に

  • 強い日差し
  • 潮風
  • 雨・風

といった厳しい環境で、塗料を長期間放置する「暴露試験」を行っています。
その代表例が、沖縄県宮古島などで行われる長期試験です。

そこで見えてきた結果は、シンプルに言うとこうです。

本物のフッ素 > 無機(シロキサン) > 住宅用フッ素(=フッ素風シリコン)

つまり、

工場や橋で使うような「本物フッ素」は、やっぱり最強

しかし住宅で現実的に使う塗料の中では無機(シロキサン)の方が、一般に売られている“住宅用フッ素塗料”より上

ということが、実験でもハッキリしてきたわけです。

この結果を受けて、各メーカーは

「住宅向けの最上位グレードは “無機塗料” にしよう」

と考えるようになりました。

まとめ

フッ素は最強クラス。でも、“住宅用”では無機が王座を奪った。

ここで大事なのは、

フッ素が弱いわけではなく、住宅用フッ素が“本物フッ素とは別物”だという事実

です。

本物のフッ素塗料

飛行機・橋・プラント向けの 超高級・超耐久。でも住宅には高すぎる。

住宅用フッ素(フッ素風シリコン)

中身はほぼシリコン。「フッ素」という名前ほどの性能差はなく、実際は“中間グレード”。

無機(シロキサン)塗料:

ガラスに近い骨格を持ち、住宅で使うには「耐久性・価格・施工性」のバランスが最も優れた最上位グレード

結論として

  • 理論上の最強 … 本物のフッ素塗料(ただし住宅にはほぼ使われない)
  • 住宅での最強 … 無機(シロキサン)塗料
  • 見積でよく出てくる「フッ素」 … シリコンに少しフッ素を混ぜた“中間グレード”

この構図さえ理解しておけば、

「フッ素だから一番いいんですよ」
という言葉だけで選んでしまう失敗

は、ほぼ防げます。

 

無機(シロキサン)が最上位に君臨した理由—“ガラス骨格”を手に入れた塗料だけが、住宅の寿命を伸ばせる

無機塗料の正体は“シロキサン”—住宅塗料の寿命を決める本当の主役

「無機塗料は最上位です」
こう聞いても、具体的に何が違うのかまではなかなかイメージしにくいと思います。

ポイントはただ一つ。
無機塗料の正体は シロキサン(Si–O結合) を骨格に持つ樹脂だということです。

一般的に「無機」と聞くと、ガラスや石のような“完全な無機物”を想像しがちですが、住宅用塗料はそうではありません。

正しく言うと、無機塗料=オルガノポリシロキサン樹脂(無機+有機のハイブリッド)

これが本物の無機塗料の中身です。

シロキサンとは何か?

シロキサンとは、ガラスと同じ Si–O(ケイ素–酸素)結合 でできた強固な骨格のことです。

塗膜を支える「骨の強さ」をざっくり並べると、

  • アクリル:弱い
  • ウレタン:普通
  • シリコン:やや強い
  • シロキサン(無機):非常に強い

という序列になります。

ただし、一般的な「シリコン塗料」と「無機塗料」は、どちらもシロキサン(Si–O)結合を一部に含むため、厳密な化学分類とは少し異なる名称で呼ばれている点に注意が必要です。

一般的には以下のような“含有量”のイメージで使い分けられています

  • シリコン塗料:シロキサン成分が少ない(有機成分が多い)
  • 無機塗料:シロキサン成分が多い(無機骨格の割合が高い)

つまり無機塗料は、

  • 塗膜の“骨”がガラス質に近い構造
  • 紫外線でも切れにくい結合を持つ

という特徴を備えているため、シリコンよりも一段上の耐候性を発揮します。

シリコンとシロキサンの関係

ややこしく見えますが、化学的には次のように整理できます。

  • シリコン(Silicon)

元素としての「ケイ素」。

  • シリコーン(Silicone)

ケイ素を含む有機化合物の総称。
住宅塗料で“シリコン塗料”と言う場合、厳密にはこちらの「シリコーン」を指しています。

  • シロキサン(Siloxane)

シリコーン化合物の中でも Si–O–Si の骨格(シロキサン結合)を持つ部分 を指す名称。

したがって、

シリコン塗料も無機塗料も、厳密な化学分類では“シリコーン樹脂”に属する

そのシリコーン樹脂の中で、骨格として Si–O(シロキサン結合) をより多く持つかどうかが、「シリコン塗料」と「無機塗料」の性能差 を生み出す

という構図になります。

“ガラス骨格 × 柔軟性” のハイブリッド

とはいえ、完全なガラスのような塗膜では、建物の微妙な動きに追従できず割れてしまいます。

そこで開発されたのが、

ガラス質(無機) × 有機樹脂のハイブリッド構造= オルガノポリシロキサン

という設計です。

  • ガラス質(Si–O):紫外線・白亜化に強い
  • 有機樹脂:柔らかさ・付着性・ひび割れへの追従性を担当

この「いいとこ取り」をした結果、住宅の外壁に最もバランスの良い“最上位グレード” が誕生しました。

無機の強さは「シロキサン量」で決まる

無機塗料と言っても、性能は シロキサン骨格がどれだけ入っているか で決まります。

  • シロキサン量が多い → 高耐候の“本物の無機”
  • 少しだけ → 無機風・無機配合
  • 主成分がシリコン → もはや“強化シリコン”レベル

ここは“名前”だけでは絶対に判断できません。
成分の主役がシロキサンかどうか が、本物と偽物を分ける分岐点です。

 紫外線への強さ(Si–O結合)—無機塗料が劣化しない本当の理由

外壁塗装の寿命を一番早く削るのは、雨でも風でもなく 紫外線(UV) です。

  • 色あせ
  • ツヤ引け
  • 白亜化(チョーキング)

これらのスタート地点は、すべて“紫外線による分子の破壊”です。

紫外線の破壊力は「約 411 kJ/mol」

紫外線が塗膜を壊すエネルギーは、約 411 kJ/mol とされています。

この数値より弱い結合は、時間とともにどんどん切られていきます。

  • 結合エネルギーが弱い → 紫外線で切れる → 劣化が早い
  • 結合エネルギーが強い → 切れない → 長寿命

という、非常にシンプルな世界です。

Si–O結合は“紫外線でも切れないゾーン”

シロキサン(Si–O結合)の結合エネルギーは、

約 460〜500 kJ/mol

と言われています。

  • 紫外線:411 kJ/mol
  • Si–O:460〜500 kJ/mol

紫外線より強いので、切れない。

これが、

  • 無機塗料が色あせしにくい
  • 白亜化しにくい
  • 10年以上経ってもツヤを維持しやすい

と言われる“根本理由”です。

一般樹脂(C–C結合)との決定的な差

一般的なアクリル・ウレタン・シリコンの骨格は C–C結合 です。

  • C–C結合:350〜380 kJ/mol
  • 紫外線:411 kJ/mol → 紫外線の方が強い

つまり、紫外線に負けて骨格が切れやすい=白亜化しやすい という構造です。

イメージで例えると、

  • C–C結合(一般樹脂)→ タコ糸
  • Si–O結合(無機)  → 鋼のワイヤー

紫外線という“ハサミ”で考えれば、タコ糸は切れても鋼線は切れません。
この差がそのまま 劣化スピードの差=寿命の差 になります。

フッ素との関係

本物のフッ素樹脂は C–F結合 486 kJ/mol で、Si–Oと同等以上の強さがあります。
しかし住宅用フッ素は、C–Fが“添加レベル”しか入っていません。

骨格はほぼ C–C(シリコン)

少しだけフッ素を足した“フッ素風”

という中身なので、シロキサンを主骨格にした無機には勝てない のです。

宮古島・促進試験の実データが証明する—“無機 > 市販フッ素”という揺るぎない事実

「理屈は分かったけど、実際の現場ではどうなの?」
ここで頼りになるのが 実験データと自然暴露試験 です。

結論から言うと、各社・各試験を並べても傾向は同じです。

無機(シロキサン) > 市販フッ素(フッ素風シリコン) > シリコン

宮古島暴露試験(自然に“さらしっぱなし”のガチ試験)

塗料の世界で最も過酷と言われるのが 宮古島での自然暴露 です。

  • 紫外線量:本州の約1.5倍
  • 強い塩害
  • 高温多湿
  • 温度差も大きい

ここに試験板を何年も置き、実際の自然環境下でどれだけ劣化するか を観察します。

多くのデータで共通している傾向は、

  • 無機:色・ツヤ・光沢・膜厚ともに劣化が非常に遅い
  • 市販フッ素:5〜7年頃から光沢が大きくダウン
  • シリコン:もっと早く白亜化が進行

というパターンです。
つまり、無機だけが別次元で“粘る” という結果になっています。

白亜化(チョーキング)試験

外壁を触ると手に白い粉がつく「白亜化(チョーキング)」は、紫外線などの影響で塗膜が劣化し、表面に粉状の物質が現れる現象です。

※チョーキング現象は、樹脂骨格が紫外線などにより分解・消失し、塗料中に含まれていた顔料(主に酸化チタン)が表面に露出し、手に付着してくる状態を指します。

試験結果としては以下の傾向が見られます。

  • 無機(シロキサン):白亜化が発生しにくく、進行も緩やか
  • 市販フッ素(フッ素風シリコン):年数とともに白亜化が明確に進行
  • シリコン:比較的早い段階から白亜化が発生しやすい

これらの傾向は、樹脂の結合エネルギーの差や紫外線耐性の違いが影響しており、無機(シロキサン)系塗料は、表面の分解が起こりにくい構造を持つため、白亜化の発生が抑えられやすいことが確認できます。

光沢保持率(キセノン・ウェザーメーター)

人工的に紫外線を当て続ける キセノン促進試験 では、ツヤ(光沢)がどれだけ残っているかをグラフで確認できます。

  • 無機:光沢保持率 80〜90% を長期間維持
  • 市販フッ素:60〜70%台まで低下
  • シリコン:40〜50%台に落ちる

光沢保持率は「劣化のスピード=寿命」に直結する指標です。
ここでも 無機は市販フッ素の上位互換 であることが数字で分かります。

自然暴露と促進試験“両方で上”なのが無機の強み

塗料によっては、

  • 促進試験では良く見える
  • けれど自然環境ではイマイチ

というケースもありますが、
無機の場合は 自然暴露(宮古島)でも、促進試験でも、両方で市販フッ素を上回る という結果が揃っています。

これは、

「無機の耐候性は、机上の理論ではなく“本物”」

だという強い裏付けです。

無機にも“偽物”がある—無機風・無機配合・ハイブリッドのカラクリ

ここまで読むと、

「じゃあ無機を選んでおけば安心だね!」

となりがちですが、残念ながらそれも危険です。

結論から言うと、

世の中の“無機塗料”の多くは、本物の無機ではない。

  • 無機風
  • 無機配合
  • 無機系
  • 無機ハイブリッド

といった名前で、実態はシリコン強化レベル のものが大量に出回っています。

本物と偽物を分けるのは「シロキサン量」

本物の無機とは、

シロキサン(Si–O骨格)が主成分レベルで高配合されている塗料

のことです。

ざっくり言えば、

【Aランク】主成分がシロキサン(本物の無機)

【Bランク】シリコン+シロキサンの中間(無機ハイブリッド)

【Cランク】シリコンに少量の無機を添加しただけ(無機配合)

多くの見積で「無機」と書かれているものは、実は B〜Cランクであることがかなり多いのが実情です。

なぜ“偽物無機”が増えたのか?

理由はシンプルで、

  • 「無機」という言葉が売れる
  • 最上位と説明しやすい
  • フッ素より高く提案しやすい

からです。

中身がほぼシリコンでも、無機”とラベルを貼るだけで高単価商品になる
これが、疑似無機が増えてしまった最大の要因です。

価格でざっくり判別できる

本物の無機は原価が高いので、

  • 無機:最上位価格帯
  • 市販フッ素:その下
  • シリコン:さらに下

という“キレイな階段”になります。

もし見積で、

  • 「無機」がフッ素より安い
  • ほとんどフッ素と同額

というケースがあれば、
中身はシリコン寄りの“無機風”と考えた方が安全 です。

営業の現場で使える質問

本物の無機かどうかを確認するには、こんな質問が有効です。

「主成分はシロキサンですか?それともシリコンですか?」

「無機(シロキサン)の配合比率は?」

「宮古島などの自然暴露データはありますか?」

「光沢保持率や白亜化のグラフを見せてもらえますか?」

ここで答えがあいまいだったり、資料を出せない場合は、名前だけ無機”の可能性が高い と判断できます。

本物の無機は KFケミカル—無機塗料の“基準”を作ったメーカー

無機塗料は今や多くのメーカーが販売していますが、業界のプロの間で

「本物の無機といえば KFケミカル」

と言われるのには、はっきりした理由があります。

20年以上、無機だけを研究してきた専業メーカー

無機が住宅市場で注目されるようになったのは、ここ10年ほどです。
しかしKFケミカルは 20年以上前からシロキサン系樹脂の研究・開発を続けてきたメーカー です。

もともとは、

  • 船舶
  • プラント
  • 橋梁
  • 工業設備

といった、より過酷な環境向けに ガラス骨格系樹脂 を供給してきました。

「住宅メーカーが後から無機を真似した」のではなく、
無機そのものを長年やってきた会社が住宅向けに落とし込んだ” のがKFケミカル。

この“スタート地点の違い”が、他社との大きな差になっています。

学術的な裏付けと宮古島データ

KFケミカルの無機塗料は、

  • 建築材料の専門家との共同研究
  • 宮古島での長期暴露試験
  • 白亜化・光沢保持・退色挙動のデータ公開

など、科学的な裏付けが非常に分厚い のが特徴です。

結果として、

  • 無機の光沢保持が圧倒的に高い
  • 白亜化が極端に少ない
  • 市販フッ素より明らかに劣化が遅い

というデータが長年にわたって蓄積されています。

「セミフロンスーパーシリーズ」が“無機の基準”

住宅用無機として代表的なのが、KFケミカルの

セミフロンスーパーシリーズ

です。

評価されているポイントは、

  • 主骨格がシロキサン(本物の無機設計)
  • 紫外線に対する耐候性が非常に高い
  • 弾性・付着性とのバランスが良く、住宅向けに最適
  • 長期の自然暴露データ・現場実績が豊富

という「無機の理想形」といえる構造にあります。

多くのメーカーの無機が“無機系・無機配合”レベルなのに対し、KFの無機は“骨格そのものがSi–O”という、本来あるべき無機の姿 に近いのが特徴です。

結論:無機の中でも“本物”を選ぶなら

無機塗料が世の中に溢れている今、大切なのは 「無機を選ぶ」ことではなく、「どの無機を選ぶか」 です。

  • 無機の歴史
  • 研究の深さ
  • 宮古島などの実暴露データ
  • 樹脂設計の思想

こうした観点で見ると、KFケミカルの無機(セミフロンスーパーシリーズ)は、“無機塗料の基準” として位置づけられる存在 だと言えます。

これが、

「なぜ無機(シロキサン)が住宅用塗料の最上位に君臨しているのか」

という、第2部の答えです。

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安いフッ素=どんな特徴を持つのか─その正体が“フッ素風シリコン”である理由

外壁塗装の見積書でよく目にする「フッ素塗料」。
一見すると「シリコンより上のグレード」「長持ちしそう」と感じますが、住宅で使われている “安いフッ素” は、ほぼ例外なく別物 です。

一言で言えば、その正体は

「フッ素風シリコン」

ここを理解しておかないと、名前だけで高いお金を払うリスク がかなり高くなります。

① 主成分はシリコン、フッ素は“ちょい足し”レベル

安いフッ素の中身をざっくり言うと、

  • シリコン樹脂:メイン
  • フッ素樹脂 :ごく少量を添加

という構造です。

化学的な“主役”はあくまでシリコンであり、フッ素の命である C–F結合(486 kJ/mol) のメリットはほとんど発揮されません。

それでもメーカーは、

「少しでもフッ素を入れておけば、“フッ素塗料”と呼べる」

というルールで名前を付けられるため、中身はシリコンに近いのに「フッ素」というラベルだけが独り歩き してしまうのです。

② 水性化でさらに“実膜厚が薄くなる”

住宅用フッ素のほとんどは 水性タイプ です。

  • 原料コストを抑えられる
  • 塗りやすく、においも少ない
  • 値段も抑えられる

というメリットがありますが、その一方で

  • 1回あたりの膜が薄くなりやすい
  • 紫外線バリアとしての“密度”も落ちる

というデメリットもあります。

結果として、耐候性は

「本物のフッ素」ではなく「ちょっと良いシリコン」レベル

に落ち着いてしまいます。

 骨格はC–C結合。無機(Si–O)には構造的に勝てない

安いフッ素の骨格は、基本的に C–C結合(有機骨格) が中心です。

C–C結合:350〜380 kJ/mol(紫外線 411 kJ/mol に負ける)

Si–O結合:460〜500 kJ/mol(紫外線より強い)

つまり、安いフッ素は

「シロキサン(Si–O)骨格ではない」

「紫外線で骨格が切れやすい」

という宿命を背負っているため、無機(シロキサン)塗料の耐候性にはどうやっても届きません。

④ 光沢・白亜化・退色のすべてで“無機に完敗”

各種試験データを見ると、傾向はどれも同じです。

光沢保持率

  • 安いフッ素:6〜8年あたりから一気にツヤが落ちる
  • 無機   :10年以上、緩やかな低下で安定
  • 白亜化(チョーキング)
  • 安いフッ素:表面が粉を吹き始める
  • 無機   :白亜化ゼロ〜ごく軽微

色の退色

  • 安いフッ素:先に色が飛ぶ
  • 無機   :色保持が圧倒的に良い

だからこそ 各メーカーのグレード表では「無機が最上位・フッ素は中間」 になっているのです。

⑤ “フッ素”という名前を使うための商品が多い

メーカーから見ると、「フッ素」という言葉は非常に強いブランドです。

  • シリコンより高く売りやすい
  • 「長持ちします」と説明しやすい
  • 見積書上もグレードアップしやすい

中身に関係なく、“フッ素を少し入れて名前だけフッ素にする”インセンティブが働きます。

食品で例えるなら、

  • 香りだけトリュフ → 「トリュフ風〇〇」
  • 金箔ひとかけ → 「高級スイーツ」

と名乗るようなもの。
ブランド目的の“スパイス”にフッ素を使っている塗料がかなり多い のが現実です。

⑥ 価格帯が“無機より安い”=それが何よりの証拠

本物のフッ素樹脂は原価が非常に高いため、もし本物を住宅に使えば、無機より高くなるのが当たり前 です。

にもかかわらず、多くの見積では

  • 無機 :最上位価格帯
  • フッ素:その下の中間価格帯
  • シリコン:一番安いゾーン

という並びになっています。

これは業界全体が暗黙のうちに

「このフッ素は“本物”ではなく、シリコン強化品ですよ」

と答えているのと同じです。

結論:安いフッ素を一言でまとめると…

  • 主成分はシリコン
  • フッ素は添加レベル
  • 水性で膜厚も薄め
  • 骨格はC–C結合で紫外線に弱い
  • 実験データでも無機に完敗
  • それでも“フッ素”という名前だけは一人歩き
  • だから価格は中間帯で“割高”

つまり本質は、

「安いフッ素=フッ素の皮を被ったシリコン」
「無機より下に置かれるのは当然」

ということです。

正しい“無機の見抜き方”─本物の無機と無機風を見分ける5つの基準

「無機が良いのは分かった。でも、本物かどうか見抜けない…」
ここが一番の落とし穴です。

今の市場には、

  • 無機風
  • 無機配合
  • 無機ハイブリッド
  • 無機系

といった“なんとなく無機っぽい”商品が溢れています。
名前だけで選ぶと、「無機という名のシリコン」を掴まされるリスク が高い。

そこで “本物の無機かどうか” を見抜く5つのチェックポイント を整理します。

① 主成分(骨格)が「シロキサン(Si–O)」かどうか

最重要ポイントはここです。

本物の無機
→ 主骨格が シロキサン(Si–O結合)

シリコン
→ C–C結合が主役

紫外線に勝てるのは、明らかに Si–O結合 の方です。

聞くべき質問

「この塗料の主成分(主骨格)はシロキサンですか?シリコンですか?」

ここで曖昧な答えしか返ってこない無機は、要注意です。

② 無機(シロキサン)の“配合比率”を見る

無機塗料の性能は、「どれだけシロキサン骨格を入れているか」 で決まります。

  • 無機高配合 → 本物の無機(Aランク)
  • 中配合   → 無機ハイブリッド(Bランク)
  • 低配合   → 無機配合(Cランク/実質シリコン)
  • Cランクは、正直“無機と名乗るレベルではない”商品も多いです。

チェックポイント

メーカー資料の「樹脂構造」「配合比率」「骨格図」を確認

そこが曖昧・非公開 → 無機量が少ないことが多い

③ 宮古島など“自然暴露試験データ”があるか

促進試験(キセノン)だけ載せている塗料は、少し疑って見た方が安全です。

本当に耐候性に自信があるメーカーは、宮古島・沖縄などでの自然暴露データ を持っています。

見るべき指標は、

  • 光沢保持率
  • 白亜化(チョーキング)
  • 退色(色の変化)

ここで 無機だけが別格の数値を出しているかどうか を確認します。

④ 価格帯が“無機>フッ素>シリコン”になっているか

本物の無機は原価が高いので、フッ素より安くなることはほぼありえません。

  • フッ素より安い“無機”
  • フッ素と同じくらいの価格帯の“無機”

こうした商品は、ほぼ間違いなく無機風・無機配合レベル と見ていいです。

⑤ 水性か溶剤かではなく、“樹脂の質”で判断する

住宅用無機の多くは水性です。
水性だからダメ、水性だから安心、という単純な話ではありません。

大事なのは、

「水性であっても、骨格がSi–O中心になっているかどうか」

です。

  • シリコンベースの“なんちゃって無機”なのか
  • シロキサン骨格を主役にした本物の無機なのか

ここを見極めるだけで、選択の精度が一気に上がります。

結論:本物の無機を見抜く5つの基準

整理すると、チェックすべきポイントはこの5つです。

  1. 主骨格がシロキサン(Si–O)であること
  2. 無機の配合比率が高いこと
  3. 宮古島など自然暴露データが公開されていること
  4. 価格帯が“フッ素より上”にあること
  5. 樹脂構造やデータをメーカーがきちんと開示していること

この5つを満たしていれば、名前だけ無機”を避け、本物の無機にたどり着ける確率はかなり高くなります。

価格と耐久のバランス比較─シリコン・市販フッ素・無機、どれが一番お得か?

外壁塗装は 「安ければいい」「高ければ安心」 という単純な話ではありません。
重要なのは、

「1年あたり、いくらで家を守れるか?」

という視点です。

ここでは、代表的な3種類の塗料を

  1. 価格
  2. 耐久年数
  3. 1年あたりの実質コスト

で比較してみます。数字はあくまで目安ですが、考え方は分かりやすくなるはずです。

① シリコン塗料(価格:安い/耐久:中)

目安価格:約60〜90万円(30坪前後)

耐久年数:約10〜12年

特徴

初期費用が安く、導入しやすい

ただし白亜化が早く、ツヤも比較的早く落ちる

骨格はC–C結合で紫外線に弱い

1年あたりコスト

60〜90万円 ÷ 10〜12年
約6〜9万円/年

② 市販フッ素(安いフッ素:中間価格/耐久:シリコン+α)

目安価格:約80〜120万円

耐久年数:約12〜15年

特徴

名称はフッ素だが、中身は“シリコン強化”レベル

無機には大きく劣り、劇的に寿命が伸びるわけではない

「中間グレード」の顔をして、実はコスパが悪くなりがち

1年あたりコスト

80〜120万円 ÷ 12〜15年
約6.6〜10万円/年

ポイント

シリコンより高いのに、寿命は少し伸びるだけ

“割高シリコン” になりやすいゾーン

③ 無機塗料(本物の無機:高価格/耐久:最上位)

目安価格:約100〜140万円

耐久年数:約18〜22年以上(宮古島・白亜化データ等からの目安)

特徴

Si–O結合骨格で紫外線に極めて強い

白亜化しにくく、色・ツヤの保持が非常に良い

メンテナンスサイクルが最長

1年あたりコスト

100〜140万円 ÷ 18〜22年
約4.5〜7.7万円/年

最大のポイント

初期費用は一番高いのに、1年あたりで見ると一番安くなる

3種類の“年あたりコスト”ざっくり比較

塗料種類

耐久年数(目安)

工事価格(目安)

1年あたり実質コスト(目安)

シリコン

約10〜12年

60〜90万円

約6〜9万円/年

市販フッ素(安いフッ素)

約12〜15年

80〜120万円

約6.6〜10万円/年

無機(本物の無機)

約18〜22年

100〜140万円

約4.5〜7.7万円/年

表で見ると一目瞭然で、

「無機が最も安く、フッ素が最も割高」

という“逆転現象”が起こっているのが分かります。

結論:コスパで選ぶなら「無機一択」

シリコン
→ 初期費用は安いが、塗り替え回数が増えて総額では高くつきやすい

市販フッ素
→ 名前は立派だが、価格だけ中間・性能は中途半端

無機
→ 初期費用はやや高いが、寿命が倍近く伸びるため長期的には一番安い

10〜20年というスパンで見ると、

「無機が最安」「フッ素が最も損をしやすい」

というのが現実です。

総まとめ─「名前で選ばず、中身で選べば失敗しない」

ここまでの内容を、最後にシンプルに整理します。

① 「フッ素」という名前を信用しすぎない

見積に出てくる“フッ素”のほとんどは、

「フッ素風シリコン」=シリコンに少しだけフッ素を入れた塗料

です。

本物のフッ素なら、無機より上の最上位で、価格も倍以上になるはず。
無機の下に並んでいる時点で「中身はシリコン強化品」と理解すべき です。

② 住宅用塗料の寿命は“骨格(Si–O)”で決まる

アクリル:弱い

ウレタン:普通

シリコン:やや強い

無機(シロキサン):紫外線で切れないゾーン

住宅では本物フッ素を使えない以上、Si–O骨格を持つ無機が事実上のトップ になります。

③ データでも“無機 > 市販フッ素”が確定している

  • 宮古島暴露試験
  • 白亜化試験
  • 光沢保持率

どのデータを見ても、

無機 > 市販フッ素 > シリコン

という序列は揺るぎません。
これは“営業トーク”ではなく、結合エネルギーと実験結果が示した必然 です。

④ 無機にも“偽物”があることを忘れない

  • 無機風
  • 無機配合
  • 無機ハイブリッド

こうした商品は、中身の多くが “シリコン寄り” です。

本物の無機の条件

主骨格がシロキサン(Si–O)である

無機の配合比率が高い

宮古島など自然暴露データがある

フッ素より高価格帯

樹脂構造やデータをきちんと開示している

ここを満たしているかどうかが、最大のチェックポイントです。

⑤ “本物の無機”を選べば、家は20年スパンで守れる

「フッ素だから安心」

「無機って書いてあるから安心」

という“名前の時代”は、もう終わりです。

  • 何の骨格でできているのか
  • 紫外線に切られない構造になっているか
  • 自然暴露データという“証拠”があるか

こうした“中身”を見る目を持てば、外壁塗装の失敗はほぼ防げます。

本物の無機を選べば、あなたの家は「10年守る塗装」ではなく、「20年守る塗装」 に近づいていきます。

代表 竹村

 

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