
住宅の外壁塗装の作業効率や仕上がりは、天候に大きく左右されます。適さない天候の日に作業すると、施工不良につながるおそれがあるため、天候によっては作業を中止せざるをえません。
この記事では、外壁塗装に適した天気、適さない天候で施工した場合のリスクなどについて解説します。
外壁塗装に適した天候とは?

外壁塗装はどのような天候が適しているのでしょうか。以下に最適な天候条件や、適さない条件、天候が悪い場合の対応方法などを紹介します。
条件を知っておき、作業ができない日があることを知っておきましょう。
雨天・雪天・結露時の外壁塗装はなぜNG?
雨の日や雪の日、外壁に結露が発生している場合は、塗装作業は行えません。
雨や雪で外壁が濡れやすい天候では、塗料の乾燥不足だけでなく、塗装したばかりの塗料が水で流れたり、壁との密着不良が発生したりして塗膜の耐久性が低下する原因となります。
乾燥中に雨が降った場合も塗料が流れ落ちるリスクがあるため、基本的に作業直後に雨が予想される場合は作業を行いません。
同様に、冬のような気温差が激しい時期は外壁に結露が発生することもあり、塗装作業を実施しない場合があります。気温が5℃を下回る場合など寒い日も、塗料がうまく乾燥しない可能性があるため作業は行いません。
外壁塗装に最適な天候条件
外壁塗装は以下の天候条件が適しています。
- 気温:5℃以上
- 湿度:85%未満
- 天候:晴れ・曇り
- 風:穏やかな日
気温は5℃以上が推奨されていますが、真夏など気温が高すぎる場合、塗料が早く乾きすぎて塗りムラができることがあります。
季節としては春・秋が外壁塗装に向いており、夏は高温やゲリラ豪雨に注意が必要です。冬は気温が低い地域や結露が発生する地域では塗装できる日が限られます。
天候不良時の対応策
塗装作業中に雨が降ってきてしまった場合、すぐに作業を中断し塗装した面が雨に濡れないよう、ブルーシートなどで養生します。塗料缶やハケ、ローラーなど、材料や道具も雨に当たらないように保護しなければなりません。
雨が上がったら完全に壁面が乾いてから塗装面に問題がないか確認し、必要に応じてサンドペーパーなどで表面を整えてから塗り直しを行います。
強風や大雨などの悪天候後は、足場の点検も必要です。
塗装後すぐの雨で起こるトラブル

外壁塗装後、塗料が乾かないうちに雨が降るとさまざまな不具合が生じます。
ここでは、塗料が乾く前に雨が降った場合に起こりうる施工不良を挙げるので、参考にしてください。
塗膜の流れ・ムラ
塗料が乾いていない壁面に雨が当たると、塗料と雨水が混ざって外壁表面に雨の筋やまだら模様が残る「ランタン現象」が起こることがあります。
この場合、雨水により壁面に塗った塗料の希釈が変わったり、均一に塗れていたはずの塗料がムラになっている可能性があるため、塗り直しが必要です。
雨水による塗装のムラは、見た目が悪くなるだけでなく、塗膜のひび割れや剥がれにつながるため、見逃せません。
白化現象
外壁塗装時に雨が降ると白化現象が起こる可能性があります。白化現象とは、油性塗料の塗装表面が白く霧がかかったように見える現象で、塗装直後に起こるのが一般的です。
油性塗料には1液型と2液型があります。1液型の白化現象は、塗料が乾燥する前に雨などにより水分を含み、その水分が膨張しながら蒸発することで表面に細かいしわや気泡ができ、塗膜の艶を失わせます。
2液型は、硬化剤を混ぜる際に水分と反応したことで塗膜を白くさせ、白化現象を引き起こします。
付着不良・密着不足
塗装中の雨は塗料が外壁に密着しにくく、後日塗膜が剥がれる原因となるため注意が必要です。塗膜の中に水分が閉じ込められると中で水分が蒸発し、水があったところが空洞になり水ぶくれになります。水ぶくれはやがて破れて剥がれ落ちます。
塗膜が剥がれた場所は外壁材がむき出しの状態になっており、水分が染み込みやすい状態です。外壁材に水が染み込むと外壁材へダメージを与えるだけでなく、雨漏りリスクが高まってしまいます。
予期せぬ雨が降ってきたときの対処法

もし、外壁塗装中に突然雨が降ってきたらどのように対処するのでしょうか。
雨は塗膜の機能性に影響を与えるうえ、工事が延期になると工事完了日も変わるため、業者の対応方法を理解しておくと安心です。
作業を即中止すべき判断基準
塗装作業中に雨が降ってきた場合、作業は即中止します。これは雨の程度に限りません。小雨でも作業は中止となります。
天気予報で翌日雨が予想される場合は、その時点で雨が降っていなくても塗装作業は延期です。その場合、前日に外壁塗装業者から連絡があります。
雨が上がってもすぐに作業を再開できるわけではありません。外壁表面やコーキングが完全に乾燥していること、湿度が85%以下になっていることを確認してから作業を再開します。
塗った直後の部分を点検
塗装が乾く前に雨が降った場合、作業の再開前に塗装面を点検しなければなりません。
雨の筋がついていたり塗装面にムラが出たりしている場合や、下地が透けて見えている場合は、雨で塗料が流れた可能性があります。この場合は塗り直しを行います。
なお、塗装から3時間以上経過していれば、突然雨が降っても塗膜には基本的に影響はありません。外壁面が完全に乾いていることを確認して塗料を重ね塗りします。
養生による建物・塗膜保護策
塗装作業中、塗膜が乾く前に雨が降ってきた場合は、塗装面を養生して保護します。ブルーシートや防水シートを防水テープなどで固定し、塗装面に雨水が直接当たらないようにします。
シートを設置する際は、しっかりと固定し、密着性を高めて水が浸入したり風で飛ばされないようにすることがポイントです。また、雨が入り込みやすい玄関周りなどは念入りに養生します。
雨が上がったら養生を取り除き、塗装が完全に乾いていることを確認してから塗装作業を再開します。
工事日程を柔軟に調整
塗装作業は雨天は中止です。翌日が雨の予報になっている場合も、前日のうちから中止が決定されます。そのため、雨が長く続くと工事が大幅に遅れることもあるかもしれません。
外壁塗装工事を予定している場合は、工事日程が遅れることは留意しておく必要があります。
完了の希望日が決まっている場合は早めに塗装工事を依頼する、梅雨などの雨が多い時期の依頼は避けるなど、日程を考慮して決めると大幅な工期の遅れを防げます。
雨の日でもできる外壁塗装関連の作業

雨の日は塗装作業はできませんが、塗装以外の作業は雨天でもできます。以下に挙げる作業は、台風などの荒天でなければ作業日程通りに工事が進められます。
スケジュールについては都度業者から連絡があるはずですが、施主としても事前に知っておきましょう。
養生作業
足場の組み立て・解体や養生作業は雨天でも可能です。
外壁塗装工事でまず行うのは足場の組み立て作業です。外壁塗装は高所作業なので、足場を組み、高所でも安全に作業ができるようにします。
さらに、塗料の飛散防止のためにメッシュシートで周囲を養生します。足場作業は足場の専門業者が行うのが一般的です。
足場の設置は雨天でも作業が可能ですが、1回の降雨量が50mmを超える場合や平均風速が10m/sの場合は作業は中止となります。
高圧洗浄
高圧洗浄も雨の日でも実施可能です。高圧洗浄は外壁についた汚れや古い塗膜を高圧洗浄機で洗い流し、塗料の密着性を高める重要な作業です。水を使用するため雨天でも塗膜に影響を与えることはありません。
ただし、高所で雨に濡れた足場での作業は大変危険です。小雨程度なら予定通り実施することも少なくありませんが、足場は滑りやすく作業員の安全を確保しにくいため、作業を中止することもあります。
足場の点検や補強
足場の点検や補強も雨天でもできる作業です。
足場は労働安全衛生規則第567条、568条に基づき、その日の作業前、足場の組み立て・解体・一部変更後、悪天候の後に点検が義務付けられています。
悪天候の定義は解釈例規で、以下となっています。
- 強風:10分間の平均風速が毎秒10m以上の風
- 大雨:1回の降雨量が50mm以上の降雨
- 大雪:1回の降雪量が25cm以上の降雪
- 中震以上の地震:震度4以上の地震
雨天でも作業がある日は作業前に足場の点検を行う必要があります。
小雨時の下地処理
ケレン作業も小雨程度の天候なら実施される場合があります。ケレン作業ではサビや古い塗膜の除去を行いますが、水が塗膜に当たることによる影響は少ないため、雨が降っていても実施が可能です。
ただし、降雨量が多い場合は足場が滑りやすくなっているため危険です。屋根塗装も同時に行う場合は屋根材のケレン作業も必要となるため、工事を中止するか、地面から手が届く範囲の足元が安定している場所に限定して実施するケースもあります。
工事計画の調整
悪天候で塗装作業が延期した場合は、工事の日程の調整をします。
悪天候が原因で工期が延長した場合、原則として追加料金は発生しません。通常、外壁塗装工事は請負契約という形を取っており、作業日数ではなく工事の完了に対して費用を支払います。そのため、雨で完了日が延長しても契約金額が変わることはありません。
ただし、塗料の変更や追加塗装など、工事内容に変更があった場合には別途費用がかかります。
まれに、雨天での工期延長に対して追加費用を請求する業者もいるので、見積もりの時点で工期延長に対して追加費用が発生するか質問しておくと安心です。
天気以外で外壁塗装の工期を左右する要因

外壁塗装は天気以外にもさまざまな要因で工期が変わります。あらかじめ工期を左右する要因を知っておき、業者と相談しながら塗装工事のスケジュールを組むと予定が狂うことがなく安心です。
外壁の状態
外壁の塗り替え工事の場合、外壁のダメージ具合でも工期は変わります。外壁塗装工事では、塗装作業の前に古い塗膜やサビなどを除去するケレン作業を行わなければなりません。
ケレン作業は職人がサビや浮いた塗膜をサンドペーパーやワイヤーブラシで一つひとつ除去していきますが、外壁の劣化が大きい場合は作業箇所が多くなり、結果的にケレン作業の日数が増えるケースがあります。
想定以上に作業が多いことが着工後に判明すると作業予定が変更になる可能性があるので、工事を遅らせないためにも、事前にしっかりと現地調査で現場を確認してもらうことが大切です。
塗料の種類による乾燥時間の違い
外壁塗料は水性塗料に比べて油性塗料の方が乾燥に時間がかかります。水性塗料の乾燥時間は2~4時間なのに対し、油性塗料の乾燥時間は12〜24時間です。
また、下塗り剤も種類によって乾燥時間が異なり、シーラー系下塗り剤の乾燥時間は2~3時間、フィラー系下塗り剤は4〜6時間、防水系は約16時間必要です。
製品によっては乾燥時間が短いタイプもあります。早く外壁塗装を終わらせたい場合は塗料メーカーのカタログで乾燥時間を確認しておくとよいでしょう。
外壁塗装の天気に関するよくある質問

ここでは外壁塗装工事の天気による作業日程の変更などに関して、よくある質問とその回答を紹介します。
工事予定日に雨天が予想されており、日程の変更が心配な場合は以下をチェックしておいてください。
梅雨時に外壁塗装を依頼するメリットはある?
梅雨時は塗装作業ができない日が続いたり塗装直後に雨により塗料が流れてしまったりするリスクがあるなど、外壁リフォームに向いていないと言われることもありますが、メリットもいくつか存在します。
梅雨時に外壁塗装を行うメリットは以下のようなものです。
- 希望の日程で予約が取りやすい
- 値引やキャンペーンを受けられることがある
- 暑すぎず寒すぎないので職人が作業しやすい
施主にとっての最大のメリットは、塗装工事が閑散期にあたることで希望日に予約を取りやすい点です。
閑散期は塗装業者がキャンペーンを実施していてお得な料金で外壁をリフォームできる可能性があります。梅雨時に外壁塗装を希望している場合はキャンペーンについて業者に問い合わせてみるとよいでしょう。
雨上がり直後はどれくらい待てば良いですか?
雨が上がった後の外壁塗装は、晴れていて壁面が乾燥していれば翌日でも可能です。雨上がりは外壁に湿気が残っていることも多いため、塗装の品質を落とす可能性があります。そのようなことを避けるため、外壁が完全に乾いていることを確認してから塗装作業を開始します。
塗装面が乾いていても、湿度が85%以上の場合は塗装作業は行いません。また、天気予報で雨降りが予報されている場合も工事は中止になります。
外壁塗装をしたら何日で乾きますか?
外壁塗装は塗料と工程によって乾燥にかかる時間が異なります。
塗料の種類による乾燥時間はご紹介した通り、以下の時間が必要です。
- 水性塗料:2~4時間程度
- 油性塗料:12~24時間程度
工程ごとの乾燥時間は、以下が目安となります。
▽水性塗料の場合
- 下塗り:3~4時間程度
- 中塗り:2~4時間程度
- 上塗り:4~24時間程度
▽油性塗料の場合
- 下塗り:30~60分程度
- 中塗り:12~24時間程度
- 上塗り:24~48時間程度
乾燥に時間をかけすぎると次の塗料を塗る前に塗装面にホコリや砂などが付着して塗料の密着性が低下するおそれがあります。
高品質な外壁塗装を行うためには規定時間を守って乾燥させ、乾燥したら速やかに次の塗料を塗装しなければなりません。
古い家の外壁のリフォームはリメイクホームにおまかせください!
外壁塗装は空気の乾燥した穏やかな日が向いており、雨の日は施工できません。雨で壁面が濡れてしまった場合は乾燥するまで作業ができず、塗膜が流れてしまった場合は補修が必要です。
工期を最短で済ませたい場合は天候が安定している時期に依頼する、乾きやすい塗料を業者に提案してもらうなどすると良いでしょう。
多くの場合、現地調査と見積もりは無料なので、まずは業者のウェブサイトで実績を確認し、電話やメールで問い合わせることをおすすめします。
私たちリメイクホームは、愛知県を中心に外壁塗装や屋根塗装、リフォームを手がけています。
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