
外壁塗装では塗料の色だけでなく、艶の度合いも選べます。同じ色でも外壁の艶の度合いによって住まいの雰囲気が大きく異なるため、慎重に選ぶ必要があるでしょう。
今回は、外壁塗装で艶あり塗料と艶なし塗料を選ぶ際のポイントや、機能面での違い、自宅の外壁に適切な艶の度合いの塗料を選ぶ方法などについて解説します。
外壁塗装するなら艶あり・艶なしどちらがよい?

外壁塗料は艶ありと艶なし、どちらが良いのでしょうか。普段あまり意識することではないので、いざ選んでくださいと言われると迷いますよね。
まずは艶あり塗料と艶なし塗料それぞれの魅力についてお伝えするので、迷っている方は参考にしてください。
耐候性や美観を重視するなら艶あり
劣化しにくくや汚れにくさを求めるなら艶あり塗料が推奨されています。艶あり塗料は艶なし塗料よりも1.5倍ほど耐久性があるためです。
艶あり塗料は表面がツルツルしているため、外壁の劣化の要因の一つである汚れが壁面に溜まりにくく、雨で汚れが流れ落ちやすいため、きれいな状態を長く保てます。
耐用年数の長い塗料は外壁リフォームの間隔を長くできるため、あまり頻繁に塗装工事はしたくないという場合にもおすすめです。
高級感のある質感を求めるなら艶なし
高級感や落ち着いた雰囲気のデザインを重視するなら艶なし塗料が最適です。和風建築のような落ち着いた住宅や重厚な洋風建築はマットな質感の艶なし塗料が適しています。
自然豊かな環境や歴史ある街並みなど、周辺環境と調和させたい場合にも艶なし塗料が向いているといえるでしょう。
また、外壁材の凹凸を目立たせたくない場合も、艶なし塗料の方が向いています。艶あり塗料の塗装したてのテカテカした雰囲気を好まない場合もマットな質感の艶なし塗料がふさわしいといえるでしょう。
外壁塗装の艶ありと艶なしの違い

艶あり塗料と艶なし塗料は見た目だけでなく、機能性にも大きな違いがあります。外観のイメージだけで選ぶと後悔するケースもあるので、事前に両者の違いをしっかり理解したうえで適切なものを選ぶのが、外壁塗装を成功させるコツです。
艶ありと艶なしの印象の違い
同じ建物に塗装しても、艶あり塗料と艶なし塗料では見る人に与える印象が大きく異なります。
艶あり塗料は太陽の光を反射し、ピカピカ光沢するので新築のような印象を与えます。反射率が高く光が反射しやすいため、目に入る光の量が多くなり輝いて見え、建物全体を明るく見せる点が特徴です。
一方、艶なし塗料は光の反射が抑えられマットな質感で、全体的に落ち着いた印象を与えます。光が乱射反射しどの角度から見ても同じように光を反射するため、建物全体を落ち着いた印象に見せます。
艶の度合いによる5段階分類
外壁塗装には艶の度合い(グロス値)が5段階あります。
- 艶あり(光の反射率70%以上):防汚機能が高い
- 7分艶(反射率55~65%):自然な艶感
- 5分艶(反射率30~40%):バランスの良い見た目と機能性
- 3分艶(反射率10~20%):上品で控えめな艶
- 艶なし(反射率5%以下):外観のイメージ重視
塗料のメーカーや製品により、艶のバリエーションが少ないものや、艶なしがない製品、艶ありがない製品も存在します。希望の艶の度合いがある場合は、カタログなどで確認しておくと確実です。
耐久性・汚れ付着・メンテナンス性の違い
基本的に、機能面では艶あり塗料の方が優れていると考えておくとよいでしょう。艶あり塗料は艶なし塗料に比べて塗膜の耐久性が高く、表面がツルツルしていて汚れも付着しにくいので、長期間塗膜の機能性を保てます。
耐久性が高いため、外壁塗装の頻度も艶なしに比べて少なく済み、トータルコストも安くなります。艶あり塗料は塗料の種類も艶なしに比べて圧倒的に多いので、機能面や塗料の選択肢の多さから選ぶなら艶ありが最適です。
施工時のコストの違い
塗料の価格は、艶なし塗料が艶あり塗料に比べて10〜20%程度高額です。これは艶なし塗料が通常の艶あり塗料に艶消しの処理を施しているためです。艶を抑えた3分艶、5分艶も同様に、価格は艶あり塗料より高めとなります。
さらに、艶なし塗料は刷毛跡が残りやすいため、施工に技術が必要です。そのため、業者選びの際は業者のウェブサイトの施工事例などをチェックし、実績のある業者に依頼するようにしましょう。
また、艶なし塗料は艶あり塗料に比べて耐用年数が低い傾向もあるので、コストパフォーマンスもやや劣ります。艶なし塗料を検討する場合は、塗料の価格と、耐用年数を総合的に見て検討すると、失敗を防げます。
外壁塗装で艶ありを選ぶメリットは?

外壁に艶あり塗料を選ぶとどのようなメリットがあるのでしょうか。以下に主なメリットを4つ挙げているので、外壁塗料を艶ありにするか迷っている場合は、参考にしてください。
耐久性が高い
艶あり塗料は艶なし塗料に比べて耐用年数が長い点が大きなメリットです。艶なし塗料に比べて耐用年数が1.5~3年程度長いとされています。
これは艶あり塗料の方が塗膜の密度が高く、紫外線や汚れへの耐性が高いと考えられているためです。
また、艶なし塗料はもともと艶のある塗料に艶消し材を混ぜて光沢を抑えるため、塗料に異物が混ざることになり、塗膜が本来持っている機能が若干低下すると言われています。
塗料本来の機能を活かし耐久性を維持したい場合は、艶あり塗料が向いていると言えます。
光沢感で新築のような仕上がり
艶あり塗料は、その光沢感が新築のような輝きを出します。
とくに白系の明るい色は艶を強調し、新築のような美しい外壁に仕上がるでしょう。そのほか、彩度の高い色も光沢の強い塗料で塗装するとポップな印象を与えます。
光を反射して外壁を明るく見せるので、日当たりが悪く暗い場所では建物を明るく見せる効果があります。
ただし、色が鮮やかすぎたり角度によっては眩しく見えることもあるため、艶の度合いを調節したり、中間色を選ぶなどするとよいでしょう。
汚れが付きにくい
表面がなめらかに仕上がるため、塗膜の劣化の原因となる汚れが壁面に溜まりにくくなります。塗膜の撥水性も高いため、カビやコケが発生しにくい点も大きなメリットです。
一方、艶なし塗料はもともと樹脂を主成分としたツルツルした仕上がりになる塗料に艶消し材を混ぜるため、表面が粗くなりざらざらとした塗膜になるため、汚れが付きやすくなるのです。
艶あり塗料で塗装すれば、汚れやカビ、コケが付きにくく、外壁を長期間新しく見せることができるでしょう。
さらにきれいな状態を維持するには、塗料の色にも注目しておくとよいでしょう。原色は汚れが目立ちやすいため、中間色を選ぶのがポイントです。艶仕上げと明るい中間色を組み合わせれば、外壁の美観を長く保てるはずです。
外壁の凹凸が強調されやすい
艶あり塗料は反射光が多いため、外壁の凹凸が目立ちやすいという特徴があります。これは表面がツルツルのアルミホイルとコピー用紙を丸めたあと伸ばすと、アルミホイルの方が皺が目立つのと同じメカニズムです。
窯業系サイディングのように表面に凹凸のデザインを施している外壁材の場合、艶あり塗料で塗装すると立体感が生まれます。
一方で、細かい凹凸のある外壁では光を反射しにくくなり、艶が本来の光沢よりも弱く見えることがあるため、艶あり塗料でピカピカの外壁にしたいと考えている場合は理解しておいた方がよいでしょう。
外壁塗装で艶なしが適している場面は?

では、艶なし塗料が適しているのはどのようなケースなのでしょうか。以下で挙げるケースに当てはまる場合は、艶なし塗料がおすすめです。まずは条件に当てはまっているかチェックしてみましょう。
落ち着いた雰囲気を演出したい
住宅を落ち着いた雰囲気に演出したいなら、艶なし塗料が適しています。艶なし塗料はマットな質感で柔らかい雰囲気を出すため、外壁に高級感を与えられます。
和風建築は艶なしとの相性が良いです。艶ありで外壁を光らせると雰囲気にそぐわない印象を与える可能性が否定できませんが、艶なしは落ち着いた和の雰囲気にうまく調和できるでしょう。
艶あり塗料は塗装から2~3年もすると艶が薄れてきますが、艶なし塗料は数年経過しても艶の見え方に変化はないため、塗りたての雰囲気を維持できる点も大きなメリットです。
外壁の凹凸を目立たせたくない
艶なし塗料は、外壁の凹凸を目立たなくします。そのため、表面の小さな傷が目立ちにくく、美観を保ちやすいといえるでしょう。
注意点は、艶なし塗料は塗膜表面にざらつきがあるため、汚れが付着しやすく落ちにくい点です。そのため、表面の傷は目立ちにくくても、汚れが目立つことで美観を損なうケースがあります。
とくに湿気が多い場所や汚れが付着しやすい幹線道路や工場地帯の近くの地域に住宅が立地している場合、外壁に排気ガスなどの油汚れが付きやすいため、艶あり塗料の方がメンテナンスに負担がかからないでしょう。
周辺環境との調和を重視したい
艶なし塗料は、光沢が少ないため派手さが抑えられ、周辺環境との調和に優れています。
自然豊かな場所や、落ち着いた雰囲気が求められる場所、歴史的な街並みや保存地区などのエリアでは建物が悪目立ちすることなく、周囲の景観に自然に馴染んでくれるでしょう。
ただし、汚れが付きやすいため、周囲との調和を維持するためには定期的な清掃などのメンテナンスや、塗装の塗り替え工事が必要です。艶あり塗料に比べて外壁塗装の頻度が高くなる可能性は理解しておいた方がよいでしょう。
外壁塗装の艶選びのポイント

ここでは外壁塗装の艶を選ぶ際のポイントを4つ紹介します。艶選びはデザイン性だけでなくメンテナンスの手間にも影響するので、ポイントをしっかり押さえて自宅に合った塗料を選んでください。
建物のデザイン・素材に合う艶を選ぶ
塗料の艶の選び方は、外壁材のデザインと素材に合わせて選びましょう。例えば窯業系サイディングの場合、木目調や重厚なレンガ調のデザインの場合は艶なしの方がおしゃれな雰囲気を演出できます。
反対にタイル調のデザインなら艶ありの方がスタイリッシュに見えるでしょう。
ガルバリウム鋼板の外壁の場合は、艶ありにすると塗装前と塗装後で雰囲気が大きく変わって違和感を覚えたり、安っぽく見える可能性があります。そのため、3分艶程度のマットな質感に近い塗料を選ぶとモダンな雰囲気を維持できます。
建物の雰囲気に合わせる
塗料の艶あり、艶なしを選ぶ際は、住宅全体の雰囲気も考慮しましょう。
光沢感の強い艶あり塗料は、モダンで華やかな印象を与えます。住まいを新築のように新しく見せたい場合や、輝くような明るい外観にしたい場合は艶ありがおすすめです。ただし、日当たりのよい場所では眩しく見えてしまうことがあります。
艶なし塗料は重厚で落ち着いた雰囲気が合うので、伝統的なデザインの建物や自然素材と組み合わせたい場合などにおすすめです。日当たりの悪い場所では暗い雰囲気になりやすいため、住まいが暗くなるのを避けたい場合は3分艶や5分艶塗料を選ぶとよいでしょう。
周辺環境との調和を考える
外壁塗装の艶は、周辺の環境に合わせて選ぶことも大切です。日差しが強い地域や汚れが付着しやすい地域では耐久性と汚れにくさを重視して艶あり塗料を選択したほうが良いでしょう。海に近い場所でも耐久性の高い艶あり塗料がおすすめです。
自然豊かな場所や伝統的な家屋が多い場所など、周辺環境とデザインを調和させたい場合は艶なし塗料を選ぶと周囲の景観に溶け込み、建物が環境に馴染みます。
メンテナンス性を考慮する
外壁塗料を選ぶときは見た目の好みはもちろんのこと、その後のメンテナンスについて考えておくことも大切です。耐久性の高さを重視する場合は艶あり塗料がおすすめです。
艶あり塗料の方が塗膜の保護機能が高いため、寿命が長い傾向があります。一方で、艶なし塗料は外観はおしゃれに仕上げられますが、艶あり塗料に比べて寿命が短いのがデメリットです。
寿命が短い塗料はその分外壁塗装の頻度も高くなり、費用と手間がかかることになります。艶の有無はその後の手間にも繋がってくるので十分考慮して決めると失敗を防げるはずです。
また、外壁塗装は屋根塗装とタイミングを合わせるとコストを抑えられるので、屋根塗装の耐用年数も考慮して塗料選びをするとよいでしょう。
失敗しない外壁塗装業者への伝え方

外壁は艶の度合いで印象が大きく変わります。そのため、業者にはしっかり希望の艶の度合いを伝えておかなければなりません。ここでは、業者にイメージを伝えるためのポイントをお伝えするので、打ち合わせの際の参考にしてください。
艶の度合いを具体的に伝える
外壁塗装を希望通りに仕上げるには、業者に艶の度合いを具体的に伝えるようにしましょう。ツヤツヤすぎる外壁は眩しいから嫌、艶は一切ないマットな外壁が良い、など、仕上がりのイメージをしっかりと伝えることが大切です。
5分艶、3分艶などの艶のレベルは、塗装業者によって違う用語を使っている場合もあるので、分かりにくい場合はその都度営業担当者に確認するようにしてください。
言葉で伝えにくい場合はイメージしている画像をインターネットや雑誌などから探して数枚用意しておくと、艶だけでなく色のイメージを業者と共有しやすいのでおすすめです。
色見本で艶の度合いを確認する
艶の度合いを決めるときは、色見本を見せてもらい、業者と相談しながら決めると失敗を防げます。
色見本はできるだけ大きいもので確認するようにしましょう。カタログのような小さいサイズの色見本では実際に塗ったときに色が違って見えることがあります。一般的に色は小さい面積で見ると濃く見え、大きい面積で見ると薄く見えます。
そのため、カタログで選んだ色で実際に塗装すると「思っていたよりも白くなってしまった」と感じることは少なくありません。
色のサンプルはA4サイズの大きいものもあるので、業者に大きい見本を見せてもらうようにしましょう。サンプルは屋外で見ることも大切です。晴れの日、曇りの日それぞれ見ておくと、色の雰囲気をつかみやすくなります。
外壁と付帯部の艶のバランスを整える
外壁の付帯部とのバランスを考えて艶の度合いを決めると全体的にまとまった印象になります。付帯部とは軒天や雨樋、雨戸などのことで、外壁塗装の際に同時に塗装するのが一般的です。
付帯部は屋根と共に外壁塗装のアクセントカラーとしても機能し、外壁に塗るベースカラーの色を引き立て、デザインにメリハリを与えます。付帯部はベースカラーと同系色の濃い色や対照的な色を選ぶことで全体を引き締めたり、建物の雰囲気を調整します。
付帯部の艶は基本的に外壁の艶レベルに合わせるとよいでしょう。マットな外壁に対して付帯部に強い艶があるとバランスが悪くなるため注意が必要です。
外壁塗装の艶に関するよくある質問

ここでは外壁塗装の艶について、よくある質問とその解答を紹介します。外壁塗装でマットな外壁にしたいと考えている場合は疑問を解消しておき、納得のいく塗料を選びましょう。
外壁塗装の艶消しの耐久性はどのくらい?
艶なし塗料は艶あり塗料と比較すると耐用年数が1.5~3年ほど短いといわれています。
ただし、最近の塗料は進化しており、艶なし塗料でも耐用年数が長くなってきています。艶なし塗料を長持ちさせたい場合は、高耐候性・耐汚染性に優れた製品を選ぶとよいでしょう。
塗膜を長持ちさせるには定期的な清掃と専門業者による点検が不可欠です。
艶消し塗料の耐久性を維持するには、塗料の品質とこまめなメンテナンスが重要です。業者と相談して最適な塗料を選び、メンテナンスのタイミングを決めておきましょう。
外壁塗装の艶を変えたら色味も変わるの?
外壁塗料は艶の度合いによって、同じ色でも見た目の色味が変わって見えます。これは艶とマットでは光の反射の仕方が異なるのが理由です。
艶あり塗料は表面がフラットなため、光を一方向に強く反射する効果から、色の彩度が高くはっきりとした色に見えるでしょう。艶なし塗料は表面に細かな凹凸があるため、光を乱反射させる効果から、色がくすんで見えます。
外壁を鮮やかな色に見せたい場合は艶ありを、落ち着いた色に見せたい場合は艶なしを選ぶなど、与えたい印象に合わせて艶を選ぶのもひとつの方法です。
外壁のリフォームはリメイクホームにおまかせください!
外壁塗料は艶の有り無しで雰囲気が大きく変わります。塗料は好みの色や艶だけではなく、性能も重視して選ぶと耐久性が高く、メンテナンスのコストも抑えられるため、外壁塗装業者に希望を伝え、アドバイスを受けながら比較検討するのがおすすめです。
塗装業者に相談する際は、現地調査を依頼して実際に現場を見てもらい、周囲の景観と合った色や艶の塗料を選ぶことも大切です。
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