
外壁や屋根で使用される塗料は、塗料缶に入っているものをそのまま使えるわけではなく、水やシンナーで薄めて施工するのが一般的です。これを希釈と言いますが、実際にはどれくらい薄めて使うのでしょうか。
この記事では、塗料の性能を最大限に発揮する外壁塗料の希釈率や希釈が必要な理由、手抜き工事を防ぐ対策について解説します。
このページでわかること
塗料を希釈する理由

外壁塗料はなぜ希釈しなければならないのでしょうか。塗料は希釈することで施工性が向上し、塗料本来の性能を発揮します。まずは、塗料を希釈する理由を整理してみましょう。
作業しやすい粘度に調整するため
塗料は原液のままだとドロドロしており、ローラーや刷毛をスムーズに動かせず作業しにくいため、作業しやすい粘度に薄める必要があります。
原液のまま塗装すると作業効率が悪くなるだけでなく、塗りムラや刷毛跡の原因になってしまいます。 吹き付け塗装では、塗料の高すぎる粘度はノズルが詰まり、仕上がりがムラになる要因です。
反対に希釈しすぎると塗料がサラサラになりますが、飛散しやすかったり塗膜の厚みを確保できないため、適切な希釈率を守らなければなりません。
仕上がりを整えるため
希釈しない塗料は塗りにくいだけでなく、塗りムラやダマ、ピンホールと呼ばれる小さな穴の原因となります。 壁面に均一な量を塗布しにくいため、色が均一でなくまだら模様になったり、部分的に濃淡があるように見えたりして、美観が悪くなる可能性があります。
また、見る角度によっては光沢が異なって見えることもあるでしょう。 反対に、希釈しすぎた塗料は既存の塗膜が透けてしまい、こちらも見栄えが悪いです。
塗料本来の性能を発揮しやすくするため
希釈していない塗料は塗りムラを起こしやすく、塗膜が均一になりません。均一でない塗膜は外壁を保護する機能を十分に発揮できない可能性があります。
原液のまま外壁塗装をすると、塗膜が厚くなりすぎて乾燥不良を起こすことがあります。乾燥しにくいと、塗膜の早期剥離の原因となるため注意が必要です。 塗膜が剥がれると剥がれた部分は外壁の防水性が失われるので、施工不良を防ぐためにも塗料は適切に希釈しなければなりません。
外壁塗料の種類と希釈率

外壁塗料は製品により5~10%などのメーカー指定の希釈率が設定されています。現場では推奨されている希釈率を目安に、職人が気温、湿度、下地の状態に合わせて微調整して使用するのが一般的です。
ここでは、塗料の種類ごとに推奨されている希釈率や希釈方法を解説します。
水性塗料
水性塗料の希釈率は一般的に5~10%です。 水性塗料は水が蒸発して乾燥し、塗膜を形成するタイプの塗料です。水はきれいなものであれば水道水で希釈して問題ありません。
塗料が乾く際のにおいの発生が少なく、近隣への影響も最小限で塗装が可能です。かつては油性塗料に比べて耐久性が劣るとされていましたが、耐久性に優れた製品が開発されており、近年の外壁塗装では主流となっています。
油性塗料
油性塗料で推奨される希釈率は主に5~15%です。
油性塗料は有機溶剤で塗料を溶かし、溶剤が揮発することで塗膜が形成されます。希釈する溶剤の違いで「溶剤」と「弱溶剤」に分かれており、塗料の種類によって適切な溶剤を使用することが求められています。
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油性塗料の種類 |
適切な溶剤 |
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強溶剤 |
アクリルシンナー ラッカーシンナー ウレタンシンナー エポキシシンナー |
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弱溶剤 |
塗料用シンナー |
油性塗料は密着力・耐久性が高いため、屋根や鉄部などを中心に使用されます。しかし、溶剤が揮発する際に強いにおいが発生するというデメリットがあります。
1液型・2液型でも注意点が異なる
外壁塗料は、水性塗料・油性塗料からさらに1液型と2液型に分かれ、取り扱い方法が異なります。
【1液型】
缶の中に既に硬化剤が入っており、水や溶剤で薄めて使うタイプ
【2液型】
主剤と硬化剤の2缶に分かれており、使用する前に混ぜ、さらに水や溶剤で薄めて使うタイプ
2液型は2つの素材を混ぜ合わせた直後から硬化反応が始まるので、3~8時間を目安に使い切る必要があります。しかし、塗料を混合せずにいれば長期間保管でき、耐用年数も1液型よりも2~3年長いとされています。
1液型は硬化剤が含まれているため缶の中で少しずつ固まっていき、塗料としての性能も落ちていくので、製造日から3か月~1年以内を目安に使い切らなければなりません。
同じ塗料でも希釈率が変わる理由

塗料は基本的にメーカー指定の希釈率を守りますが、条件によって微調整することで施工性が良く、適切に塗装できます。
以下のような場合では、条件に応じて塗料の希釈率を変えて施工するのが一般的です。
はけ・ローラー・吹付けで希釈率が異なる
はけ・ローラーと吹き付けでは、はけ・ローラーは粘度を少し高く希釈し、吹き付けはさらさらの状態まで希釈するのが理想的です。
はけやローラーは塗料が均一に塗布できるよう、液だれしないように少し粘度を保つ程度まで薄めます。ある程度粘度を保つことで塗料が飛散しにくく厚塗りしやすくなります。
吹付けは、塗料に粘り気があるとノズルが詰まって均一な霧状にならないため、粘度を下げて施工します。
気温・湿度・施工条件で調整幅が出る
塗料の粘度は気温や湿度からも影響を受けるため、希釈率を調整する必要があります。 気温が高いと塗料の粘度が低くなるので、希釈率を低く調節します。反対に気温が低いと粘度が高くなるため希釈率を高くするのが基本です。
気温と湿度は塗装条件にも影響を与えます。外壁塗装は乾燥不足による施工不良を防ぐため、基本的に気温5℃以上、湿度85%以下の気象条件で施工が可能です。高温すぎる気温も塗料が急速に乾燥し塗りムラや亀裂などのトラブルの原因となることから、施工は気温5~35℃、湿度40~70%が理想とされています。
下塗り・中塗り・上塗りで考え方が異なる
外壁塗装は下塗りと上塗りを合わせた複数回塗りが基本ですが、それぞれ役割が異なり、省くことはできません。同時に役割を最大限に発揮させるために、規定の希釈率を守って塗装することが大切です。
下塗りは下地材と塗料の密着性を高めたり、下地への塗料の吸い込みを抑えたりする目的で塗装します。下塗り材は下地材の状況に応じて希釈率を調整することがあります。 上塗りは塗布量を確保して塗膜に厚みをつけ、住宅をしっかりと保護しながら表面を美しく仕上げる工程です。
メーカーの仕様書では上塗り2回(合計3回塗り)が標準とされていますが、リメイクホームでは上塗り3回(合計4回塗り)を標準施工としています。 これは凹凸のある外壁材では、上塗り2回だけでは凸部に十分な塗料が付かず、透けやかすれが生じるケースがあるためです。
上塗りを1回追加することで、誰が施工しても仕上がりにムラのない均一な品質を実現できます。なお、上塗りはいずれの回も同じ塗料を使用し、メーカーの規定希釈率を守って施工します。
希釈率を誤るとどうなる?

では、希釈率を誤るとどのような不具合が起こるのでしょうか。塗料の希釈率は高すぎても低すぎても施工不良の原因となります。
以下に具体的なリスクを整理しているので、起こりうる不具合を把握するための参考にしてください。
希釈しすぎると塗膜が薄くなり耐久性が落ちる
塗料を希釈しすぎると必要な膜厚が得られず、塗膜の耐久性が落ちる原因となります。 外壁塗料は硬化する過程で樹脂同士が結合し、強い塗膜を作り出します。この塗膜が雨漏りから住まいを守り、建物の耐久性を維持するのです。
しかし、塗料を規定以上に薄めると、樹脂の密度が低くなり、結合が弱くなります。 これを造膜不良と呼び、次のような不具合につながります。
- 数年でチョーキング現象が発生する
- 防水機能が発揮できず、外壁材に雨水が入り込む
- 施工不良扱いとなりメーカー保証の対象外となる
- メンテナンス・修理の間隔が短くなる
塗料を薄めすぎると住宅の寿命を縮める原因となるため、施工品質を保つためには十分な厚みを持って塗装しなければなりません。
希釈不足はムラ・密着不良・仕上がり不良の原因になる
では、希釈率を低くして分厚い塗膜を形成すれば良いのかというと、必ずしもそうではありません。 希釈不足は塗料の粘度が高すぎるため、刷毛跡が残ったり、塗料が均一に広がらずにムラになったりします。
塗料の粘度が高いと下地にしっかり密着できず表面に載るだけの状態になるため、剥がれなどの不具合を引き起こしやすいのも注意点の一つです。
外壁・屋根塗装の塗料の膜厚は0.03mm、ベランダ等に使用するウレタン防水工事でも3mm程度の膜厚です。それ以上の膜厚は施工不良の原因となり、不具合によりかえって防水性を失う危険性があります。
規定塗布量と希釈率の関係

外壁塗装は希釈率だけに注目すれば良いわけではありません。希釈率を守っていても塗布量を守らなければ不具合の原因となってしまいます。
見積書では施工面積や使用缶数、下地の形状を確認しておく必要があります。
希釈率を守っても塗布量不足なら性能は出にくい
外壁塗装は塗料メーカーが推奨する希釈率と同時に塗布量も守らなければ期待する耐久性を維持できません。 希釈率が高すぎると、耐久性が維持できず早期にひび割れや剥がれが発生する可能性があります。
同様に、適正な塗布量を守らず薄く塗料を塗った場合、耐久性が低くなる、塗膜が数年で剥がれるなどのトラブルのリスクが高まります。
つまり、いくら機能性の高い塗料を選んだとしても、適切な塗布量と希釈率で塗装しなければ耐久性が低い塗装工事になってしまうのです。
塗料の使用缶数と施工面積をあわせて確認する
残念ながら外壁塗装業者のなかには、規定の塗布量を守らなかったり、塗料を必要以上に希釈して使用量を少なくしようとしたりする業者が存在します。そのような業者との契約を避けるためにも、塗料の使用缶数を確認することは重要なポイントです。
メーカーのサイトでは塗料のカタログが掲載されており、規定の使用量も記載されています。使用量は単位が「kg/㎡」と記載されているので、該当の欄をチェックしましょう。
30坪の住宅の外壁塗装面積は約119㎡です。たとえば規定塗布量が0.11~0.17kg/㎡の塗料を中塗り・上塗りする場合の必要量の計算式は、以下のようになり、15kg缶が2~3缶必要だということが分かります。
119㎡×2回塗り×0.11~0.17=約26~40kg
凹凸の大きい外壁は塗料使用量が増えやすい
同じ面積の外壁でもガルバリウム鋼板のような平坦な外壁材よりも、デザイン性のある窯業系サイディング・リシン・スタッコのような凹凸のある外壁の方が表面積が大きいため、塗料の使用量は多くなります。
それだけでなく、劣化した外壁は塗料を吸い込みやすいため、想定以上の塗料が必要になるケースも少なくありません。 さらに、グレードの高い塗料は膜厚をしっかり確保するために1㎡あたりの使用量が多くなる傾向があります。
手抜き工事を防ぐために施主が確認したいポイント

外壁塗装では、下塗りをおろそかにする、中塗り工程を省くなどの手抜き工事をする業者が存在し、完成してしまうと見抜けないケースもあるのが現状です。
そこで、手抜き工事を防ぐために、施主が契約前にできるチェックポイントを紹介します。
見積書に製品名・工程・使用缶数の記載があるか
塗装会社に見積もりを依頼したら、見積書に外壁リフォームの内容と工程や施工面積、使用する塗料などが詳細に記載されているか確認してください。
【見積書で確認すべきポイント】
- 工法
- 下塗り塗料・上塗り塗料それぞれのメーカー名と製品名
- 塗装面積
- 使用缶数
- 各工程にかかる施工費用の明細
- 工程表
塗料は同じ「シリコン塗料」と記載されていてもメーカーによって価格も耐久性も異なります。必ずメーカー名と製品名が記載されているか確認しましょう。
外壁・屋根診断の結果、カバー工法を選択することもあります。その場合はカバー工法に使用する素材を確認しておきましょう。
メーカー仕様書どおりの施工条件か
見積書に塗料の製品名が記載されていることを確認したら、メーカーのウェブサイトでカタログを確認してみましょう。
カタログには塗料の性能や特徴などの概要のほか、施工条件が細かく記載されています。 規定の塗布量も記載されているので、外壁面積とカタログに記載されている塗布量から使用缶数を計算し、見積書に記載された使用缶数と合っているか確認すると、見積りが正確か確認できます。
工程写真や空き缶写真を見せてもらえるか
工程写真や空き缶写真は、信頼できる外壁塗装専門店であれば基本的に提示されます。これらの写真を提示することは、施工の透明性を確保し、手抜き工事を防ぐための重要な資料だからです。
屋根・外壁塗装では、塗装前の缶の写真と塗装後の空き缶の写真を撮影します。これを一般的に「材料搬入」と「空缶検収」と呼びます。 材料搬入写真では、見積書に記載の塗料と同じ製品名・色・艶の塗料が撮影されているかチェックしましょう。
空缶検収写真でも製品名と色・艶が分かるように撮影されているはずなので、搬入写真と同じ塗料であることを確認しておくと安心です。 心配な場合は見積もりの際に工程写真と空缶写真を見せてもらえるか、相談しておきましょう。
外壁のリフォームはリメイクホームにおまかせください!
外壁塗装は規定の希釈率と塗布量を守って、はじめて効果を発揮できます。これらを守らずに塗装すると短期間で劣化が発生し、補修工事が必要になってしまいます。
塗装業者には少ない塗料で施工しようとする悪徳業者も存在するため、業者選びの際は料金だけで選ばず、施工事例をチェックしたうえで複数業者に相見積もりを依頼し、相場を把握してから契約へと進むことが大切です。
相見積もりの際はアフターフォローやスタッフの知識・対応など、総合的に見て判断すると失敗を防げます。
私たちリメイクホームは、愛知県を中心に外壁塗装や屋根塗装、リフォームを手がけています。
お見積もりやお問い合わせは、ぜひお気軽にご連絡ください!







