私はサラリーマン時代に塗料開発と施工を同時に行うメーカーに15年勤務。だからこそリアルに語れる。
外壁塗装を検討する際、多くの方は「施工業者選び」に注目しがちですが、実は「塗料メーカー選び」も同じくらい重要なポイントです。とはいえ、「良い塗料メーカー」と一口に言っても、一般消費者と施工業者(プロ)とでは評価基準が大きく異なります。私はこの業界に入り、20年以上にわたり、塗料メーカーでの製品開発・営業活動・現場施工まで一貫して携わってきました。
また、塗料メーカー在籍中の15年間、製品開発から施工に至るすべての流れを実務レベルで経験してきました。
だからこそ机上の理論ではなく、現場で培ったリアルな視点で、本当におすすめできる塗料メーカーをご紹介します。
このページで分ること
まず押さえておきたい|大手メーカーと中小メーカーの違い

大手塗料メーカーとは?
メリット
- 豊富な施工実績による製品の安定感
- 流通網が広く、仕入れコストが比較的抑えられる
- 全国規模のサポート体制(特に大規模案件に強い)
デメリット
- 独自性の高い製品は少なめ
- 全製品が自社開発とは限らず、OEM(外部製造)製品も存在
(特に「新開発」「無機塗料」とうたう商品は慎重な見極めが必要)
代表メーカー(三大メーカー)
- 日本ペイント
- 関西ペイント
- エスケー化研(SK化研)
これらの大手メーカーは、日本国内で圧倒的な実績と売上を誇り、施工性や製品品質の安定感では間違いなく優れています。
特にゼネコン案件など大規模工事では、万が一トラブルが発生した場合、数千万円規模の賠償問題に発展することもあるため、保証体制や企業規模の安心感が重視されます。
この点で、大手メーカーが選ばれる理由は非常に納得できるものです。
ただし、製品すべてを自社開発しているわけではありません。OEM、つまり他社製造を自社ブランドとして販売しているケースも珍しくなく、守秘義務の関係で一般にはほとんど知られていないのが実情です。
また、大手メーカーの製品は、「誰が塗っても一定以上の仕上がりが得られる」よう設計されているため、性能を極限まで求めたい方には、やや物足りなさを感じることもあります。
さらに重要な注意点として、大手メーカーは基本的に町場の工務店や塗装店には製品保証を行っていません。
つまり、たとえ大手メーカーの製品を使って施工しても、その施工自体に対してメーカーが責任を負うことはありません。
また、製品についても、明確な製造上の欠陥(瑕疵)が認められた場合にのみ、
ごく限定的な対応をするだけで、一般的な製品保証もほぼ存在しないのが実態です。
そのため、「大手メーカーの塗料を使っている=安心」と短絡的に考えず、施工業者の技術力や保証体制を含めて総合的に判断することが非常に重要です。
中小塗料メーカーとは?
メリット
- 大手にはない、独自の高性能な製品を開発している場合がある
- 柔軟な開発体制によりニッチなニーズに応える力がある
デメリット
- 営業優先でコンプライアンス意識が甘い企業も存在
- 「30年耐久」など過剰表現への注意が必要
中小メーカーには、大手を凌駕するような優れた製品を開発する企業もあります。
技術力の高さと柔軟な対応力は、現場目線では非常に頼もしい存在です。
一方で、
- 売るために少し盛る
- 耐久年数を誇張する
といった営業色の強い企業も混ざっているため、選定には慎重さが求められます。
塗料というのは、”誰が見るか、どの視点で見るか”によって評価が大きく変わるもの。
表面的なカタログに記載された性能に惑わされず、本当に現場でその性能以上の機能を発揮できるのか?信頼できるメーカーなのか?ということを見極める必要があります。
【厳選】プロが本当におすすめする塗料メーカー
おすすめ①|技術重視で信頼できる塗料づくりにこだわる「水谷ペイント」

大阪府に本社を構える水谷ペイントは、もともと屋根塗料専門メーカーとして創業し、100年以上の歴史を持つ老舗で、下町ロケットのような技術力推進型のメーカーです。
特長
- 産官学連携によるナノコンポジット技術(特許取得)
- 「井上春成賞」受賞(実用化技術に贈られる日本国内最高権威の名誉ある賞)
- 艶消し仕上げながら高耐久・低汚染を実現
- 沖縄・西表島に独自の屋外耐候試験場を保有し実暴露試験を行っている
- 国産原料・自社樹脂開発へのこだわり
技術力を地道に積み重ね、流行に左右されず「本当に良い塗料」を追求し続ける姿勢は、プロ施工業者から非常に高い信頼を集めています。
※産官学連携で開発された製品は、ただの企業製品とは違い、社会的な信用や科学的な裏付け、そして未来につながる価値を持っています。
まず、企業だけで作った製品よりも、科学的な根拠がしっかりしているため、安心感が違います。さらに、国や公的な機関、大学などと一緒に作られているため、社会にとって役立つ意味も大きいのが特徴です。
また、最新の研究成果や技術が積極的に取り入れられているので、性能や品質もとても高くなっています。そして、国や行政機関の支援を受けて生まれた製品なので、これから社会に広く普及していく期待も大きいと言えます。
補足
- 産=ここでは「塗料メーカー」など、ものづくりをしている企業を指します。
- 官=国や自治体といった「行政機関」
- 学=大学や研究機関など「学術界」
この3つが力を合わせて開発した製品は、企業だけで作ったものよりも、科学的な根拠がしっかりしていて信頼性が高く、社会に役立つ意義も大きいのが特徴です。さらに、未来に向けて普及していく期待も大きい製品になります。
【井上春成賞】について
これは簡単にいうと、「すごい技術を社会で使える製品にしたこと」を評価して贈られる、日本国内でも最高レベルの名誉ある賞です。
たとえば、ノーベル賞が「すごい発見」に対する賞なら、井上春成賞は「すごい発見を、実際に役立つものにしたこと」をたたえる賞、というイメージです。
おすすめメーカー②|無機塗料のパイオニア「KFケミカル」

続いてご紹介するのは、東京に本社を構えるKFケミカルです。
KFケミカルは、2004年に日本で初めて無機塗料の開発・施工を実現した、まさに無機塗料のパイオニアといえるメーカーです。
同社は、当時の旧・建設省 建築大臣官房長官技術室(現・国土交通省)で技術指導にあたっていた本橋教授と共同開発を行い、その成果を日本建築学会にて技術発表しています。
※日本建築学会とは、建築分野における日本最高峰の学術団体であり、学術的な裏付けに基づく技術力の証明となっています。
このようにKFケミカルは、単なる宣伝レベルに留まらず、公的機関からも認められる確かな技術力を有しており、開発した無機塗料は「20年以上塗り替え不要」と評される圧倒的な耐久性能を誇ります。
また、特筆すべきは耐久性能だけではありません。
特に、無機塗料やフッ素樹脂塗料といった超高耐久型製品の開発に強みを持ち、市場に出ている他社製品と比較しても、耐用年数、防汚性、紫外線耐性の各分野で非常に優れた性能を示しています。
さらに、製品開発においては「屋外暴露試験」を重視している点も注目に値します。
KFケミカルは、国内有数の性能試験機関である日本ウェザリングテストセンター(JWTC)において、20年以上にわたり屋外曝露試験を継続実施しています。
日本ウェザリングテストセンターは、塗料をはじめとする各種素材・製品の耐候性評価を行うために設立された中立性の高い機関です。
同センターは、沖縄県宮古島市、千葉県銚子市、北海道旭川市の3か所に試験場を設け、それぞれ異なる過酷な気象条件下での耐久性試験を行っています。
KFケミカルはこの厳しい試験環境において、自社製品だけでなく他社製品との比較試験も積極的に実施し、自社塗料の性能評価に活かしています。
こうした地道な努力の積み重ねが、同社製品の高い信頼性と性能を支えているのです。
耐久性を最重視する方、高品質な無機・フッ素塗料をお求めの方にとって、KFケミカルは非常に心強い選択肢になるでしょう。
おすすめ③|コストパフォーマンス重視なら「エスケー化研」

国内販売量No.1を誇るエスケー化研は、コストと品質のバランスに優れた製品を幅広く展開しています。
特長
- 製品ラインナップが非常に豊富
- リーズナブルながら一定以上の耐久性
- 大規模施工案件でも安心できる供給体制
消費者目線で見れば、コストを抑えつつも安心できる選択肢と言えるでしょう。ただしプロからは、メーカーなのに施工も請け負う姿勢が、価格競争に巻き込まれるなどのアンチな意見を持つ者もいます。
安い商品だから物が悪い、など。
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最近よく聞く「アステックペイント・プレマテックス」はどう見るべきか?

ここ数年、一般消費者向けに知名度を高めているアステックペイント・プレマテックス。
メリット
- カタログ・販促ツールのデザイン性が高い
- コンセプトがわかりやすい
- 施工店支援が充実。使用店には全て支援してくれます。プロタイムズはさらに大きな支援があります。
※プロタイムズ加盟には加盟料(有料)が発生します。
注意点
- 自社工場を持たず、製造はOEM委託
- 客観的な耐久性データが少なめ
- 宣伝イメージと実態に差を感じるプロも存在
まとめ
- 見せ方は上手いですが、性能本位で選びたい方は慎重な検討をおすすめします
- 自社工場を持たず、塗料製造は外部委託
- 客観的な耐久性データが不足している
- 宣伝イメージと実態にギャップを感じるプロも少なくない
実際、「プロタイムズ加盟店」として支援を受けている施工店からは高評価を得ていますが、加盟していない施工業者からは慎重な見方をされる傾向が強いのも事実です。
つまり、「見せ方は非常に上手だが、製品本来の耐久力や信頼性を重視するなら、慎重な検討が必要」これが、プロ目線での率直な意見です。
まとめ|「本物志向」で塗料メーカーを選ぼう

塗料メーカー選びに絶対的な正解はありません。
外壁塗装を検討する際、多くの方は「塗料のカタログに記載がある耐久年数や内容に」に注目しがちですが、実際の塗料選びでは、「ブランドイメージ」や「広告表現」だけで判断するのではなく、地道に製品力を磨き続けているかどうか、第三者機関による試験結果や、実際の経年劣化データが存在するかなど、客観的な裏付けをしっかり確認することが何より大切です。
失敗しない塗料選びのための3つの視点
視点 内容 代表的なメーカー例:
実績と耐久性 第三者機関による試験データ、長期的な現場実績に裏付けされた製品か 水谷ペイント / KFケミカル
コストと供給力 安定した品質と価格、幅広い施工実績があるか エスケー化研
サポートとブランド力 わかりやすい情報発信、施工店支援体制の充実度 アステックペイント / プレマテックス
チェックしておきたいポイント
- カタログスペックだけでなく、現場実績や屋外耐候試験を確認する
- 「耐久年数30年」などの表現には裏付けデータの有無を必ず確認する
- 施工業者の管理体制や施工技術も、塗料の性能発揮には欠かせない
注意点
- 大手メーカー製品でも、すべてが自社開発とは限らない(OEM製品あり)
- 中小メーカーにも優れた技術力を持つ企業が存在する
- 施工店支援の充実=塗料品質とは限らないことに注意
総まとめ ▶︎ 「塗料メーカー選びは、性能・実績・サポート体制を総合的に見て判断する」

「見た目や広告ではなく、確かな裏付けに基づく製品を選ぶ」
外壁塗装は、住まいの資産価値を守るための大切な工事です。
焦らず、じっくりと信頼できるメーカーと製品を選びましょう。
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重視するポイント別|おすすめするメーカー
重視するポイント おすすめするメーカー
耐久性と実績を最優先 水谷ペイント・KFケミカル
コストパフォーマンス重視 エスケー化研
ブランドイメージ重視(要慎重) アステックペイント・プレマテックス
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この記事が、あなたの塗料選びの参考になれば幸いです。
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代表 竹村
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