
外壁塗装は「10年で塗り替えた方が良い」という言葉を見聞きしたことはないでしょうか。しかし、インターネットで調べると「10年は嘘」などという文言が目に入り、不安に思うこともあるかもしれません。
そこで今回は、外壁塗装の「10年で塗り替え」は嘘なのか、なぜ10年と言われるのか、適切な塗装時期の目安などについて解説します。
このページでわかること
外壁塗装は「10年で塗り替え」は嘘?

外壁塗装の10年で塗り替えは嘘なのでしょうか。結論から言えば、塗装は10年程度で劣化症状が見られるため、あくまでも目安として「10」年が広く使われており、環境や条件によって塗装の寿命に幅があります。
外壁材によって寿命が異なる
外壁材は種類によって必要なメンテナンス時期が異なります。 外壁の種類ごとの塗装のタイミングは以下の通りです。
- 窯業系サイディング:7~10年
- 金属系サイディング:10~15年
- モルタル:8~12年
- ALCパネル:10~15年
- タイル・レンガ:基本的に不要
外壁材は素材によって吸水性と伸縮性が異なり、吸水性の高い素材は水が内部に浸入すると膨張や収縮を繰り返し、素材そのものが劣化しやすくなります。
さらに素材の伸縮性が高い場合には塗膜が外壁材の動きに追いつけずひび割れが生じやすくなります。そのため、素材に応じた定期的なメンテナンスが欠かせません。
立地環境で耐久年数が大きく変わる
外壁塗装は同じ種類の塗料を使用していても、建物が立地する環境や気候によって耐久性が変わります。 塗料の樹脂は主に紫外線で劣化します。そのため、建物の南面と西面は劣化が進みやすく、色褪せが起こりやすいといえるでしょう。
建物の北側や日当たりが悪い場所、湿気が多い場所では外壁にコケやカビが発生しやすく、広範囲に広がると美観を損ねるだけでなく、外壁材にダメージを与える恐れがあります。
また、海沿いの地域で起こりやすいのは、潮風の影響で塗膜の劣化が早まったり、金属部分の腐食が進んだりする塩害です。
そのほか、豪雪地帯では凍害や雪害により塗膜が剥離しやすく、塗膜の耐久性が通常よりも低くなることもあります。
メンテナンス状況で差が出る
外壁塗装の劣化速度は、メンテナンスの状態で差が出ます。 塗膜の寿命を延ばすために大切なことは、定期的に点検を実施し軽微なひび割れや塗膜の剥がれを早期に補修することです。
また、こまめに外壁を洗浄してコケやカビ、汚れを清掃しておくことも劣化防止につながります。 長期間メンテナンスしないでいると、劣化症状が深刻化し、大がかりな修繕が必要になります。
大規模な修繕工事は費用も高額になるため、軽微な劣化症状を早めに見つけ、対応することが大切です。
前回施工の品質で「10年もたない」ケースもある
施工の品質が悪いと塗装から10年経過しないうちに劣化症状が現れることがあります。
外壁塗装では丁寧な下地処理と塗料の種類に合わせた塗装回数・乾燥時間を守ることが重要です。外壁塗装業者の中には塗料の希釈を守らなかったり、塗装回数を減らしたりする手抜き業者も存在します。
このような業者が施工すると数年で塗膜が剥がれるなどの施工不良が起こる可能性があります。外壁塗装を依頼する場合は、地元で長年営業しているなど、経験豊富な優良業者に依頼することが大切です。
「10年前後=点検目安」というのが適切な考え方
外壁塗装は必ずしも10年で劣化するとも限らず、反対に10年を待たずに劣化が現れることもあります。そのため「10年は点検の目安」と考えておくとよいでしょう。
10年おきに業者に点検してもらえば、劣化症状を早く見つけ、適切に補修ができます。
早い段階で補修を行えば補修費用が高額になるリスクも避けられるため、10年に1度の点検とメンテナンスをあらかじめリフォーム計画に入れておくと安心です。
外壁塗装の寿命が10年と言われている理由

外壁塗装の寿命が塗料の種類や条件によって幅があるのにも関わらず、一般的に「10年」と言われるのにはいくつかの理由があります。
なぜ10年を目安にメンテナンスが必要なのかを知っておき、補修の準備を進めておきましょう。
築10年経過すると劣化が目立つようになる
外壁は塗装から10年も経過すると、劣化が目立ち始めます。外壁や屋根は毎日紫外線と雨風に晒され続けており、塗料の樹脂が時間をかけて分解されているのです。
そのため、やがて塗膜の防水機能が弱まり、艶を失っていきます。防水機能が低下し柔軟性を失った塗膜には、ひび割れや剥がれなどの劣化症状が現れます。
このようなことから、10年を目安に再塗装を行って塗膜の機能性を保つことが推奨されているのです。
ハウスメーカーの点検・保証が10年
外壁塗装が「10年」とされている事情の一つには、ハウスメーカーの保証・点検制度も関係しています。
ハウスメーカーは引き渡しから10年後に定期点検を実施しているケースが多く、その際にメンテナンスとして外壁塗装を提案することも少なくありません。
また、工事請負人が新築住宅の構造耐力上主要な部分について、10年の瑕疵担保責任を負わなければならない点も「10年」の点検に関係しています。
これらのことから、「10年を節目として点検する」という意識が外壁塗装の周期に影響しているといえるでしょう。
塗料ごとの耐用年数

外壁塗装の耐用年数は塗料の種類で大きく変わり、塗料の選び方を工夫すれば塗装工事のタイミングを調節できます。
以下に代表的な塗料の耐用年数と特徴を整理しているので、塗料選びの参考にしてください。
アクリル塗料
アクリル塗料の耐用年数は約5~8年です。 アクリル塗料は、アクリル樹脂を主成分とした塗料で、かつては外壁塗装で広く採用されていましたが、近年では高性能な塗料が多数登場していることにより、あまり使用されていません。
アクリル塗料の最大のメリットは費用の安さです。一方で耐用年数が短い点がデメリットです。そのため、近い将来に住宅の建て替えを検討している場合など、塗膜の機能を長期間保持する必要性がない場合に使用されます。
ウレタン塗料
ウレタン塗料の耐用年数は約7~10年です。 ウレタン塗料とは、ポリウレタン樹脂を主成分とした塗料で、光沢のある仕上がりになる点が大きな特徴といえるでしょう。
柔軟性に優れておりひび割れが起こりにくく、密着性と防水性が高い点がメリットです。一方で、紫外線に弱く変色することがある点、耐候性がシリコン塗料などに比べて低い点がデメリットとされています。
そのため、こまめな塗り替えを前提とした外壁塗装やベランダ防水などで用いられています。
シリコン塗料
シリコン塗料の耐用年数は約10~13年です。 シリコン樹脂を主成分としており、近年最もスタンダードな塗料として使用されています。
耐久性が高く、価格と性能のバランスが良いため、現在では外壁塗装のおよそ7割がシリコン塗料で塗装されていると言われているほどです。
人気の塗料のため、色や種類が非常に豊富な点もメリットです。特にこだわりがない場合は、シリコン塗料を選ぶとよいでしょう。
フッ素塗料
フッ素塗料の耐用年数は約15~20年です。 フッ素塗料は、蛍石を原料としたフッ素樹脂を主成分とする高い耐久性と耐候性を持つ塗料で、一般住宅の外壁だけでなく、大型建造物や航空機などにも使用されています。
紫外線や太陽熱による劣化を防げるだけでなく、親水性を持っているため汚れが雨水で流れ落ちやすい特徴もあります。 耐用年数が長いため、塗り替えの頻度を減らせることも大きなメリットです。
一方で塗膜が硬いことにより、地震などで建物に揺れが起こった場合にひび割れるリスクがほかの塗料に比べてやや高い点はデメリットです。
無機塗料
無機塗料の耐用年数は約15~25年です。 無機塗料は、ガラスやセラミックなどの無機物を主成分とした、非常に耐候性の高い塗料です。
塗料は有機物である樹脂が紫外線により分解することで劣化しますが、無機塗料は含まれる有機物が少ないため、紫外線でも組織を破壊されにくく、長期間塗膜を維持できます。
その耐候性の高さから、橋梁やプラントなど、塗り替え工事が難しい場所の塗装に広く用いられています。
無機塗料は塗装の間隔を大幅にあけられますが、シーリング材が先に劣化して補修が必要になるなど、他の部分とのメンテナンスのタイミングが合わせにくいケースがある点には注意が必要です。
外壁塗装を検討すべき劣化症状

外壁に劣化症状が現れたら外壁塗装を検討しますが、一体どのような症状が現れるのでしょうか。
以下に代表的な劣化症状と緊急性を整理しているので、外壁が同様の状態になっていないかチェックしましょう。
外壁材の色褪せ
外壁塗装が新築や塗装工事をした当時に比べて色が薄くなったり違う色に変化した場合、塗膜の劣化を示しています。
色褪せの初期症状は、紫外線が樹脂を破壊することによる塗膜の艶の低下です。やがて紫外線が塗料の結合組織を破壊して、外壁の色を構成する顔料が分解されて色褪せを引き起こします。
色褪せは塗膜劣化の最初の段階です。そのため、多少色褪せが起こっただけではすぐに雨漏りリスクが高まるわけではありません。
しかし、放置していると深刻な劣化症状につながるだけでなく、美観を損ねるので、早めに塗装工事を検討するようにしましょう。
カビ・コケの発生
カビやコケが発生すると、塗膜の防水機能が低下し、外壁材にダメージを与える可能性があるため、早めの対応が必要です。
カビやコケは日当たりが悪く風通しが悪い場所、湿気の多い場所に発生する傾向があります。最初は表面に付着する程度ですが、放置していると外壁材が常に湿っている状態になり劣化しやすくなるほか、外壁材に深く根を張り、外壁内部に水が染み込みやすくなってしまいます。
吸水した外壁材は反りや浮きの原因となり、反りがひどい場合は外壁材の交換工事が必要になる可能性も否定できません。
カビやコケが発生したら、早めに除去し、植栽を移動させるなどして風通しを良くする、防カビ・防藻機能付き塗料で塗装するなどして発生を防ぐことも大切です。
チョーキング現象
チョーキング現象も、外壁の塗膜劣化の代表的なサインです。チョーキング現象は白亜化現象とも呼ばれる、外壁を触ったときに手に白い粉がつく現象です。
塗膜が紫外線や雨によって分解され、顔料が粉状になって塗膜表面に残ると起こります。 外壁を触って粉が手についてくる、外壁を水で濡らすと色が変わる場合は、チョーキングにより外壁の撥水機能が低下していることを示しています。
放置しているとカビやコケが発生したり、ひび割れにつながるおそれがあります。深刻な劣化に発展する前に外壁塗装を依頼しましょう。
目地コーキングの劣化
外壁塗装のタイミングは外壁面だけでなく、目地が劣化した場合も該当します。目地は紫外線による劣化でひび割れや肉やせ、外壁材からの剥離を引き起こしやすく、雨水の浸入リスクが高まります。
目地のコーキングが劣化している場合、コーキングの打ち替えまたは打ち増しでメンテナンスしますが、塗装から10年以上経過している場合は外壁塗装も劣化している可能性が高いため、同時に行うと手間とコストを抑えられます。
外壁材のひび割れ
外壁材にひび割れができている場合、ひびの大きさによって緊急性が異なります。幅0.3mm以下の髪の毛のように細いひび割れはヘアークラックと呼ばれており、塗膜に起こったひび割れです。
深さがない表面上のひび割れのため、経過観察で問題ありません。ただし、ヘアークラックが大きなひび割れに進行する可能性もあるため、見つけた段階で補修するのも一つの方法です。
幅0.3mm以上のひび割れは構造クラックを疑います。構造クラックは外壁材にひびが及んでいる可能性が高く、ヘアークラックに比べて緊急性が高い状態です。
放置すると外壁材に水が染み込み、雨漏りリスクも高まるため早急に補修を手配しましょう。
塗膜の浮き・はがれ
塗膜の浮きや剥がれが起こっている外壁は、早急に塗り替え工事が必要です。塗膜のひび割れを放置していると、そこから雨水が入り込み、塗膜を浮かせてしまいます。やがて浮いた塗膜は剥がれ落ちます。
塗膜が剥がれた部分は外壁材がむき出しになっている状態です。窯業系サイディングは、セメントが主成分となっているため、外壁塗装で表面を保護していないと雨水を吸収してしまいます。
雨水に濡れるとやがて外壁材の反りや腐食に繋がるだけでなく、進行すると外壁内部に水が浸入し建材の腐食、雨漏り、シロアリ発生などのリスクが高まります。
周辺に塗膜が落ちているのを見つけたら、剥がれている場所を確認したうえで外壁塗装業者に点検を依頼しましょう。
外壁材の割れ・変形
外壁塗装の劣化を放置していると、外壁材に雨水が染み込み、膨張と収縮を繰り返して外壁材の反りや浮き、変形へと進行します。
放置すると雨漏りにつながるおそれがあるため、早急な外壁塗装業者による補修が必要です。
外壁材の反りが軽微な場合はビスで固定して対応できますが、反りが大きい場合や劣化が激しい場合、広範囲に及んでいる場合は外壁の張り替え工事が必要となり、費用が高額になるケースがあります。
結局、外壁塗装はいつやるべき?

では結局、外壁塗装はどのタイミングで行えばよいのでしょうか。
ここでは費用を抑えながら外壁材が長持ちする最適な塗装時期の考え方を紹介するので、塗装時期を決める際の参考にしてください。
劣化が軽度のうちに塗るとトータルコストが安い
外壁塗装は劣化がごく軽いうちに再塗装するとトータルコストを抑えられます。
劣化が進行すると、ひび割れや下地の反りなどが発生し、塗装前の補修作業に手間と技術がかかります。軽度なうちに塗装すれば、補修の必要がなく下地処理も最低限で済むため、人件費や材料費を抑えられるでしょう。
長期的なコストを安くするためには、大きな劣化が現れる前に塗装工事を行うことです。時期を決めて定期的に塗り替えれば住宅全体を長く健康に保てます。
適切な時期を逃すと補修が必要になる
劣化が軽度だからと放置していると症状が進行してしまい、外壁塗装では補修できない場合があるため注意が必要です。
例えば外壁のコケやひび割れを放置し、外壁材に雨水が染み込みやすい状態が続くと、外壁材を大きく劣化させてしまう可能性があります。その場合、塗装では対応できず、外壁の張り替え工事が必要になる場合があります。
外壁の張り替え工事は大掛かりな工事のため、費用も高額です。 このような大きな補修を防ぐためにも、定期的に外壁塗装を行うことが大切です。
10年はあくまで点検の目安
外壁塗装は必ずしも10年ごとに行わなければならないものではなく、点検の目安ととらえましょう。
実際の耐用年数は塗料の種類や住宅の立地条件により変わります。塗装工事の頻度を下げたい場合はグレードの高い塗料を選択します。
しかし、グレードの高い塗料は耐用年数が長い代わりに価格が高いため、耐用年数と費用のバランスを見て、外壁塗装業者に相談しながら最適なものを選ぶのがおすすめです。
外壁塗装に関するよくある質問

ここでは、外壁塗装に関してよくある質問とその回答を紹介します。外壁塗装は足場設置費用がかかるなど、決して安い工事ではありません。
事前に疑問と不安を解消したうえで工事を依頼しましょう。
外壁塗装を20年しないとどうなる?
外壁塗装を20年していない外壁は防水機能を完全に失っている可能性が高いといえるでしょう。防水性が失われたことで、外壁材にひび割れや剥がれ、腐食などの不具合が発生するリスクが一層高まります。
外壁材にダメージが及ぶと、外壁内部の腐食や雨漏りに発展し、張り替え工事やカバー工法などの大掛かりな工事が必要になり、補修費用が跳ね上がります。
たとえ見た目上大きな劣化が見られないとしても勝手に判断してメンテナンスを先延ばしにしないことが大切です。まずは業者の外壁診断を受け、外壁の状況を見てもらいましょう。
新築住宅の初期塗装の寿命が短い?
新築後、初めての外壁塗装のタイミングは築後5~10年が目安とされています。特に短いと感じるのは初期塗装にアクリル塗料が使用されているケースです。
最近の新築住宅の初期塗装はシリコン塗料も採用されており、シリコン塗料であれば10年を目安に塗装を行えば問題ありません。
その後の塗装のタイミングは塗料の種類により異なるため、外壁塗装業者に見積もりを出してもらい、検討するとよいでしょう。
また、断熱・遮熱塗料による省エネルギー化や耐久性向上による住宅の長寿命化を目的とした外壁塗装では、自治体によっては補助金・助成金制度が設けられている場合があります。
お得に塗り替えを行える可能性があるため、事前に管轄の自治体窓口に相談するとよいでしょう。
外壁のリフォームはリメイクホームにおまかせください!
外壁塗装の時期は厳密に言えば10年ではありませんが、メンテナンス時期の一つの目安として考えられています。
外壁は劣化症状が軽いうちに補修することで、ダメージを最低限に抑えられるので、大きな劣化が見られなくても定期的に業者に調査してもらい、適切にメンテナンスすることが大切です。
私たちリメイクホームは、愛知県を中心に外壁塗装や屋根塗装、リフォームを手がけています。
お見積もりやお問い合わせは、ぜひお気軽にご連絡ください!







