この記事を読んでいるあなたは、
- 防水工事に使われるトップコートについて知りたい
- トップコートの劣化症状についてを知りたい
- トップコートの塗り替え時期や費用についてを知りたい
上記のように考えているかもしれません。
今回は、そんなあなたに向けて「防水工事のトップコートについて、トップコートの効果や劣化症状」などをお伝えしていきます。
防水工事に欠かせないトップコートとは
防水工事とは、薄い不透水性皮膜層を形成するメンブレン防水を指し、大きく分けて塗膜防水、シート防水、アスファルト防水の3種類があります。
防水工事は雨水が建物の中に浸入するのを防ぎ、耐久性や品質を保持するのに欠くことのできない重要な仕上げ工事です。
建物においては、ベランダや屋上、屋根、庇を施工した後に、他の素材との隙間や取り合い、継ぎ目などから雨水が浸入するのを防ぐために、メンブレン防水工事を施し防水層を形成します。
防水層には、防水層が露出している露出防水とコンクリートやモルタルで表面を保護して見えなくなる保護防水の2つに分類されます。
露出防水は防水層が露出した工法であり、そのままでは紫外線や風雨などの影響により劣化が進行してしまうので、トップコートと呼ばれる防水保護塗料を防水層の表面に塗布して仕上げます。
トップコートに防水機能はありませんが、トップコートを塗装しなければ防水層は紫外線などの過酷な自然環境に晒され続けて劣化の速度が早まり、防水機能が損なわれてしまいます。
そのまま放置しておけば雨漏りに繋がるリスクが高まるので、防水層のトップコートは防水工事において必要不可欠な工程なのです。
防水以外のトップコートの効果
トップコートには、防水層を紫外線から保護する役割以外にも、塗料の種類によって様々な効果が期待できます。
以下に、トップコートの防水層保護以外の効果をまとめました。
遮熱機能
遮熱トップコートには、太陽熱エネルギーを反射して防水層の表面温度を大幅に下げ、室内へ侵入する熱を低減する「遮熱機能」があり、室内の温度上昇の緩和や防水層の熱劣化を抑える効果があります。
清潔性を保つ
ウレタン塗膜防水のように粘着性がある防水層の上にトップコートを塗装することで、ゴミやホコリなどが付着しにくくなり、表面の清潔性を保つ効果があります。
滑り止め
ベランダやルーフバルコニーなど人が歩行する場所にFRP防水やウレタン防水などの塗膜防水を施す場合、トップコート用の骨材(チップ)をトップコートに混ぜることで表面に凸凹が形成され、歩行時に滑りにくくなる効果が見込めます。
トップコートの種類
トップコートの施工においては、メンブレン防水の種類によって用いられるトップコートの種類も異なります。
以下に、主なメンブレン防水とトップコートの種類をまとめました。
ウレタン塗膜防水
ウレタン塗膜防水とは、液体状のウレタン樹脂を複数回に分けて塗り重ねて、厚みのある防水層を形成する塗膜防水の一種です。
液体状タイプなので継目のない一体化した防水層を作ることが可能であり、防水性能に優れています。
また、伸縮性に優れており、複雑な形状においても塗装を施すことができるのが特徴です。
ウレタン塗膜防水のトップコートには、伸縮性に優れた「アクリルウレタン樹脂系トップコート」と「フッ素樹脂系トップコート」がよく使われます。
アクリルウレタン樹脂系トップコートは、伸縮性に優れていることから新築、塗り替えを問わずに幅広く使用されています。
標準タイプの他に、太陽光を反射し、遮熱効果を有するタイプもあります。
フッ素樹脂系トップコートは、高耐候性を有しており、ウレタン塗膜防水層を強力に保護し、メンテナンス周期を延長する効果が見込めますが、アクリルウレタンより高価となります。
FRP防水
FRP防水とは、硬化剤を混合した液体状の不飽和ポリエステル樹脂に防水用のガラス繊維マットなどの補強材を組み合わせて一体にしたFRP(Fiber Reinforced Plasticsの略称:繊維強化プラスチック)を用いる塗膜防水の一種です。
ウレタン塗膜防水と同様、FRP防水は継目のないシームレスな防水層を形成します。
FRP防水は硬化すると強靭な皮膜を形成し、軽量で耐候性、耐水性、耐熱性、耐摩耗性に優れていることから、住宅のベランダやルーフバルコニー、ビルやマンションの陸屋根など様々な箇所で採用されています。
FRP防水のトップコートには、「ポリエステル樹脂系トップコート」と「アクリルウレタン樹脂系トップコート」がよく使用されます。
ポリエステル樹脂系トップコートは、塗膜が硬く耐摩耗性に優れていますが、伸縮性がなく重ね塗りするとひび割れが発生しやすいため、塗り替えには使用されず新築の防水工事に使用されます。
アクリルウレタン樹脂系トップコートは、ポリエステル樹脂系トップコートほどの硬さはありませんが、伸縮性に優れていることから、FRP防水においては塗り替え時に使用されます。
シート防水
シート防水とは、塩化ビニール樹脂系シートや加硫ゴム系シートをベランダやバルコニー、屋上などの床面、立ち上がり部に張り付ける防水工法をいいます。
工場で製造されるシートは、厚みが均一で品質は安定しており、優れた耐久性を発揮します。
また、シンプルな形状の下地面であれば、既存の塗膜防水の上からでも貼れるので、新築だけでなくメンテナンス工事においても幅広く採用されています。
トップコートには、シート防水の材料に用いられている合成ゴムに悪い影響を及ぼさない水性タイプのトップコートが適しています。
塩化ビニール樹脂系シートは紫外線に強く耐熱性にも優れるので、必ずしもトップコートを塗布する必要はありませんが、塗布することで耐久性を保持します。
加硫ゴム系シート防水は施工性が良く、耐候性や耐久性、耐熱性に優れており、主に屋上の防水に使われることが多い工法です。
ただし、塩化ビニール樹脂系シートとは異なり紫外線に弱く、劣化を放置してしまうと硬化してひび割れや剥がれが発生してしまい、防水層が直接ダメージを受けてしまうので、トップコートの塗り替えによるメンテナンスは必須となります。
アスファルト防水
アスファルト防水とは、合成繊維不織布に液状の溶解アスファルトを含有・コーティングしたルーフィングシートを積層することにより厚みのある防水層を形成する防水工法です。
日本において古くから採用されてきた防水工法で、水密性、耐久性に優れており、メンテナンス周期が長いことから、公共施設や鉄筋コンクリート造のビルやマンションの屋上(陸屋根)に用いられることが多い工法です。
アスファルト防水のトップコートには、耐久性、耐候性に優れ、密着性、柔軟性もある「アクリルエマルション樹脂系塗料トップコート」などが使用されます。
トップコートの劣化症状
トップコートは露出防水の保護の役割を果たしますが、紫外線や風雨により徐々に劣化します。
トップコートに見られる主な劣化症状としては、「退色・色褪せ」、「チョーキング」「ひび割れ・剥がれ」が挙げられます。
退色・色褪せ
直射日光が当たるルーフバルコニーや屋上、日当たりのいいベランダやバルコニーでは、紫外線や酸性雨などの影響によりトップコートの退色や色褪せが発生しやすくなります。
トップコートの退色・色褪せは劣化の初期症状であり、今すぐにメンテナンスする必要はありませんが、経過観察するようにしましょう。
チョーキング現象
チョーキング現象とは、トップコートの塗膜に含まれる表層樹脂の劣化により、色成分の顔料がチョークのような白い粉状となって表面に出てきている現象をいいます。
トップコート表面を手で触ってみて白い粉や汚れが付くようであれば、チョーキング現象が発生しているサインです。
チョーキング現象も初期段階で発生するトップコートの劣化症状であり、早期発見できるので、発生が確認できたら経過観察するようにしましょう。
ひび割れ・剥がれ
FRP防水は塗膜が硬く耐摩耗性に優れる半面、伸縮性がないので、温度変化による塗膜の収縮と膨張にトップコートが追従できず、表面にひび割れが発生することがあります。
また、FRP防水の施工時にトップコートを厚塗りし過ぎたり、塗布後に急激に硬化してしまうと、表面にひび割れが発生しやすくなります。
地震などの大きな揺れや振動が発生すると、トップコートだけでなく防水層にひび割れが入ってしまうことがあり、雨漏りの発生に繋がるリスクがあるので注意が必要です。
シート防水には柔軟性を持たせる可塑剤が含まれており、経年と共にこの可塑剤が気化することで徐々に柔軟性が失われてしまい、ひびや割れが発生しやすくなります。
その他、トップコートの防水層との密着不良が要因となって、トップコートが剥がれてしまうこともあります。
トップコートのひび割れや剥がれは、防水層の保護機能が損なわれてしまう劣化症状であり、そのまま放置されれば紫外線や風雨などの影響を防水層が直接受けてしまうので、補修を検討しましょう。
トップコートの塗り替え時期
トップコートの塗り替え時期は、メンブレン防水の種類と経年劣化の進行度合いにより異なりますが、一般的には以下の表にあるメンテナンス周期で塗り替えすることが推奨されています。
メンブレン防水の種類 | トップコートの塗り替え周期 | 防水層の耐用年数 |
ウレタン塗膜防水 | 3~5年(フッ素系は10年) | 10~12年 |
FRP防水 | 5年 | 12~15年 |
塩ビシート防水 | 5年 | 12~15年 |
ゴムシート防水 | 5年 | 10~15年 |
アスファルト防水 | 5年 | 15~25年 |
トップコートの塗り替えができないケース
トップコートにひび割れや剥がれが発生し、防水層に著しい劣化が見られるケースではトップコートの塗り替えはできません。
なぜなら、トップコートに防水性能はないからです。
トップコートの役割はあくまで防水層を保護することにあり、防水層が劣化している状態でトップコートを施しても防水層の防水性能は回復しません。
こうしたケースでは、既存の防水層を新たな防水層にやり替えてからトップコートを塗布し、新設した防水層を保護するようにします。
トップコート塗り替えの流れ
トップコート塗り替えの流れは、主に以下の手順により行われます。
- 既存防水面の高圧洗浄による清掃、下地処理
- 塗り替え用のプライマーの塗布
- トップコートの上塗り
まずは、既存防水層の表面を高圧洗浄により汚れを落とします。
その際に、密着不良やひび割れているトップコートを撤去し、下地処理しておきます。
次に、既存防水層表面とトップコートの密着性を高めるために塗り替え用のプライマーを塗布します。
この工程が非常に重要で、プライマーをしっかり塗布していないと、トップコートの膨れや剥がれが発生しやすくなり、保護機能が損なわれてしまいます。
プライマーを塗布後、適切な乾燥時間を取ったら、最後にトップコートを上塗りして仕上げとなります。
トップコートの費用相場
トップコートの費用相場は防水層の種類により異なりますが、概ね以下の通りとなります。
メンブレン防水の種類 | ㎡単価 |
ウレタン塗膜防水 | 1,600~2,500円 |
FRP防水 | 1,800~3,000円 |
塩ビシート防水 | 1,000~2,000円 |
ゴムシート防水 | 1,000~2,000円 |
アスファルト防水 | 1,000~3,000円 |
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