この記事を読んでいるあなたは、
- コンクリート外壁の特徴についてを知りたい
- コンクリート外壁の費用についてを知りたい
- コンクリート外壁のメンテナンスが必要科どうかを知りたい
上記のように考えているかもしれません。
今回は、そんなあなたに向けて「コンクリート外壁の特徴や費用、メンテナンスの必要科」などをお伝えしていきます。
コンクリート外壁の特徴
コンクリート外壁とは、鉄筋コンクリート構造(RC造)の外壁や、予め工場で鉄筋コンクリートをパネル状に加工して製造された「プレキャストコンクリートパネル(PC板)」の外壁を指します。
工事現場でコンクリート外壁を造るには、鉄筋を配筋してから型枠を建て込み、工場で製造された固まる前の生コンクリートをポンプ車で打設して(流し込み)、適切な養生期間を取ってから型枠を脱型します。
現場でコンクリートを打設することを「現場打ちコンクリート」といい、建物においては階層ごとに行うので、作業工程が長くなるのが特徴です。
コンクリート外壁面には外装タイル張りや吹付塗装などを施して仕上げるか、コンクリート素地のままとする「打ちっ放し」の仕上げにすることもできます。
外装タイルの持つ高級感や吹付塗装の仕上がりの美しさは、コンクリートの重厚感に華やかさやデザイン性を与えてくれます。
また、打ちっ放し仕上げのコンクリート外壁は、その独特で無機質な風合いに加えて、型枠の継ぎ目や「Pコン」と呼ばれるコンクリート型枠(鋳型)の部材の跡などがコンクリートの存在感を際立たせ、立体的な美しさやデザイン性を高めます。
コンクリートとモルタルの違い
建物に使われるコンクリートは、一般的にはポルトランドセメントと水の化学反応によるセメントペーストに骨材を混合して強度が発現する建築材料をいいます。
骨材はコンクリート構成材料の7割程を占めており、粒子径が5mm未満の細骨材(砂)と、5mm以上の粗骨材(砂利・砕石)に区分されます。
コンクリートには細骨材と粗骨材が混合されており、セメントペーストと結合すると圧縮力が得られ、引張力に強い鉄筋を中に入れて補強することで非常に強固で剛性のある構造物を造ることが可能です。
モルタルとは、セメントペーストと細骨材を練り混ぜて作る建築材料をいいます。
コンクリートとは異なり、粗骨材が含まれていないためコンクリートのような強さはありませんが、柔軟性に優れており、外装や土間の仕上げ、目地部や開口部廻りの充填、タイル下地の調整、ひび割れ補修など多用途に使われます。
コンクリートとモルタルの構成材料の違いを以下にまとめました。
- コンクリート = セメントペースト + 細骨材 + 粗骨材
- モルタル = セメントペースト + 細骨材
コンクリート外壁のメリット
コンクリート外壁のメリットは下記の4つです。
- 耐火性能に優れる
- 耐久性に優れる
- 気密性が高い
- 遮音性が高い
それぞれのメリットを詳しく解説していきます。
耐火性能に優れる
鉄筋コンクリート造の外壁は耐火性能に優れており、火災に強いという特性があります。
鉄筋コンクリート造は建築基準法第2条第1項第9号の2にて、通常の火災が終了するまでの間、主要構造部において倒壊及び延焼を防止するために必要とされる耐火性能を有する耐火構造に適合する構造として認定されています。
主要構造部とは、柱、梁、壁、床、階段、屋根を指しています。
つまり、建築基準法の技術基準に適合しているコンクリート外壁は、火災終了後も建物が倒壊せず、自立し続ける耐火性能を有する構造物なのです。
鉄筋コンクリート造は1000℃の熱に2時間さらされても燃えることなく、強度が下がらないと言われています。
コンクリート素材そのものが耐火性に優れているのは、他の構造物にないメリットであると言えるでしょう。
耐久性に優れる
鉄筋コンクリート造の外壁は耐久性に優れており、非常に頑強で丈夫な構造なのが特徴です。
税制上の法定耐用年数について、鉄筋コンクリート造住宅は47年と定められています。
木造住宅は22年、軽量鉄骨造は27年、重量鉄骨造は34年、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は47年であることから、鉄筋コンクリート造はSRC造と同様に耐用年数が最も長い構造と位置付けられています。
ただし、この耐用年数は減価焼却を計算するのに用いられる税制上の年数であり、建物の寿命を示しているのではありません。
建物の状態に応じたメンテナンスを適切に実施すれば、鉄筋コンクリート造の寿命は60〜100年にもなるといわれています。
気密性が高い
現場打ちの鉄筋コンクリート外壁は、階層ごとに壁と柱、梁、天井(上階の床スラブ)を一体化して型枠にコンクリートを打設して造られるので、隙間がなく気密性が高い構造となります。
気密性に優れていると熱が外に逃げにくくなり、熱容量が大きいコンクリート壁に蓄熱できるので、冷暖房を効率的に使用してお部屋を適温に保つことができるのです。
遮音性が高い
一般的に、遮音性能は単位面積あたりの重量(面密度:kg/㎡)が大きくなるほど高くなります。
日本の住宅の7割以上で採用されている窯業系サイディング外壁の面密度は16㎜厚で約20kg/㎡、ALC外壁は100㎜厚で約65kg/㎡です。
鉄筋コンクリート外壁の面密度は150㎜厚の外壁で約360kg/㎡程で、単位面積あたりの重量が非常に大きく他の外壁材より遮音性が高い外壁であると言えるでしょう。
また、気密性にも優れており、隙間による遮音性能の低下が少なく、遮音性能を高めています。
コンクリート外壁のデメリット
コンクリート外壁のデメリットは、下記の4つです。
- 断熱性能が低い
- 結露やカビが発生しやすい
- 地盤改良工事にお金がかかる
- 施工品質にばらつきが生じやすい
それぞれのデメリットを紹介していきます。
断熱性能が低い
コンクリート外壁は、熱の伝えやすさを表す熱伝導率が木材やALCパネル、空気より高く、外部からの熱を伝えやすい素材であり、断熱性能は低い素材です。
冬場の冷気や真夏の熱気を室内に通しやすいため、冷暖房を入れてもお部屋が快適な温度になるまでに時間がかかり、効率が悪くなってしまいます。
結露やカビが発生しやすい
コンクリート造の特性として、気密性の高さゆえに暖かい湿った空気が外に逃げずにお部屋内に籠ります。
外気温が下がる冬場の冷気がコンクリート外壁を通ると室内外の寒暖差により温度が下がり、空気中に含むことができる水蒸気量が減ってしまいます。
空気中の水蒸気量が飽和状態となると、空気中に含まれない水蒸気が水分となり、結露が発生するのです。
外気に面したクローゼットや奥まったお部屋など空気の通りが悪い場所に湿気が溜まり、外の冷気に触れると結露が発生しやすく、カビが繁殖する環境を作る要因となります。
地盤改良工事にお金がかかる
建物を建てようとする地盤にその重量を支える強度が不足する場合は、地盤改良工事を検討する必要があります。
軟弱な地盤に改良を加えず建物を建てると、不同沈下など重大な過失を引き起こしてしまうおそれがあります。
建物構造を設計する前に地質調査を実施して、地盤の強度や硬軟、締まり具合、地層構成などを確認し、表層改良や鋼管杭や摩擦杭、柱状改良など地盤改良工事の工法を検討します。
鉄筋コンクリート造の建物は、木造や鉄骨造より重量があり、より強固な地耐力が地盤に求められるので、その分、地盤改良にかかる費用も高くなる傾向にあります。
施工品質にばらつきが生じやすい
現場打ちコンクリートにて構造物を造る場合、職人が手作業で鉄筋の配筋や型枠の立て込み、コンクリートを打設します。
人の手による作業だと施工精度が均一とはなりにくく、仕上がりの良し悪しが生じてしまいます。
コンクリート打設時には、専用のバイブレーターで打ち終えたコンクリートを攪拌し、余分な気泡を減らして型枠の隅々までなるべく均等に行き渡るようにするのですが、このかけ方が甘いと脆い箇所が生じて、ひび割れの原因にも繋がります。
コンクリートの仕上がりは、コンクリート打設時の天候にも影響を受けます。
コンクリートを打設している最中に強い雨が降ると、水とセメントの比率が変わってしまい、水和反応に影響が生じてしまい、十分な強度発現を得られなくなるおそれがあります。
また、真夏の猛暑日にコンクリートを打設すると、水とセメントの水和反応が促進され、早く硬化します。
硬化時間が短いとコンクリート表面が収縮しやすくなり、ひび割れの原因に繋がります。
コンクリート外壁の劣化症状
コンクリート外壁は、天候や寒暖の変化により乾燥収縮を繰り返す特性を有しており、劣化を引き起こす要因となります。
また、建物の揺れや歪みなどにより、引張力を負担する鉄筋と圧縮力を負担するコンクリートに大きな負荷がかかると、様々な劣化症状が発生することがあります。
コンクリート外壁に以下のような劣化症状が見られる場合には、部分補修やメンテナンスを検討する必要があります。
ひび割れ(クラック)
コンクリート外壁で最も多い劣化症状がひび割れ(クラック)です。
ひび割れの要因は、打設後の水とセメントの化学反応により生じる水和熱や、硬化後の水分蒸発による体積収縮、水分の凍結融解作用など材料の特性に起因します。
また、地震や強風、大型車両の通行などによる建物の揺れや振動、歪みに外壁が追従できず耐え切れなくなり、構造部分にひび割れが発生し、外壁表面にまで出現することもあります。
白華(エフロレッセンス)
コンクリート外壁に生じる劣化症状の中で、下地モルタルやコンクリート中のセメントに含まれる成分が水に溶けて表面に流出し、白く固まっている現象を白華(エフロレッセンス)といいます。
白華の原因は、水とセメントが水和反応する過程で生成された水酸化カルシウムが余剰水に溶解して表面に溶け出し、空気中の二酸化炭素と反応して水に溶けない炭酸カルシウムに変化すると考えられています。
白華現象は、強度が損なわれるものではありませんので、タイル目地などから流出しているものであれば放置していても問題はありません。
しかしながら、構造内部に発生したひび割れ部から表面に流出してきる白華の場合は注意が必要です。
雨水や空気がひび割れ部から内部に浸入すると、コンクリートの中性化を促進してしまうので、そのまま放置せずに白華除去と共にひび割れ部の補修を検討する必要が生じます。
また、美観が損なわれてしまい、放置する期間が長くなるほど除去しにくくなるので、経過観察するようにしましょう。
爆裂現象
爆裂現象とは、コンクリート内部に組まれている鉄筋に錆が発生し、体積が膨張してしまい、その膨張圧でコンクリートを外に押し出して破壊する現象をいいます。
コンクリートにひび割れが発生し、雨水や空気中の二酸化炭素が内部に浸入するようになると、アルカリ性であるコンクリートと化学反応し、コンクリートのアルカリ性が低下してしまいます。
この現象を「コンクリートの中性化」といいます。
中性化が進行すると、鉄筋を保護する被膜が破壊されてしまい、水分や酸素などの浸入により鉄筋に錆が発生しやすくなるのです。
錆が進行すると体積膨張による爆裂現象を起こすだけでなく、鉄筋の強度低下を招いてしまい、耐久性が損なわれてしまうので、早めに補修を検討するようにしましょう。
コンクリート打ちっ放し仕上げの外壁は塗装メンテナンスが必要?
コンクリート打ちっ放し仕上げの外壁とは、現場で打設したコンクリートの型枠を脱型した後、塗装やタイル、石材などで仕上げずに、コンクリート素地のままの状態を仕上げとする外壁をいいます。
表面には撥水コーティングが施されていますが耐用年数は短く、劣化してくるとタイルや塗膜のように表面を保護するものがないので、コンクリート素地が紫外線や風雨の影響を受けやすくなります。
経年と共に壁面の撥水性が低下すると、屋上のパラペット天端やベランダ手摺壁の笠木、サッシなどに溜まった汚れが雨と共に流れ落ちる「雨だれ」の跡が残ったり、雨水が浸み込んで黒ずんでしまったり、カビやコケが繁殖してしまいます。
また、ひび割れが発生すると目立ってしまい、美観が損なわれるだけでなく、雨水や空気の浸入を許してしまうので、中性化の促進による鉄筋の強度低下や爆裂破壊の原因に繋がります。
ひび割れを補修すると補修跡が残るので、元の風合いを残したままメンテナンスするのが難しいものとなります。
補修跡を目立たせないようにするには、塗装で塗り潰すかタイルを貼れば可能ですが、新築時のイメージと変わってしまいます。
劣化状況に応じて適切なメンテナンスを定期的に施すことで、コンクリート打ちっ放し仕上げの外壁は何十年とその美観性や耐久性を維持することができるのです。
コンクリート外壁の塗装と費用
コンクリート外壁の防水性能が低下している場合、表面に塗装を施して防水性を持たせて保護する工法があります。
コンクリート外壁向けの塗装にはいくつか種類があり、それぞれ耐用年数と費用は異なりますが、耐用年数が長い塗料を選べばメンテナンスの回数を減らせるので、長い目で見れば費用を抑えることに繋がります。
コンクリート外壁に塗装する際に用いられる主な塗料の種類と費用目安を以下に記します。
弾性塗料
弾性塗料とは、高い伸縮性と弾力性を有し、塗膜が厚く防水性に優れた塗料のことです。
外壁の下地にひび割れが発生した場合、ひび割れに追従して伸縮するので、塗膜の表面にひび割れが発生しにくくなり、雨水が浸入するリスクを抑えることができます。
コンクリート外壁のように、乾燥収縮を繰り返しひび割れが発生しやすい素材には適した塗料であると言えます。
ただし、弾性塗料で塗装すると、コンクリート外壁を覆うように塗り潰すので、コンクリート素地の質感や風合いが失われてしまいます。
コンクリート外壁にひび割れが発生していて、ひび割れの補修跡を隠したい場合や、打ちっ放しから塗り壁へ外観の雰囲気を変えたい場合には向いていると言えるでしょう。
費用相場としては、1㎡あたり2,500円〜3,000円程度で、耐久年数は5年〜15年程度です。
撥水剤
撥水剤とは、水分を弾く効果のある塗料を指し、コンクリート外壁の防水性を復元します。
また、撥水効果が効いている間は、壁面に付着した汚れを水で洗い落とすことができます。
無色透明のため、コンクリートが持つ独特の質感や風合いをそのまま残すことができますが、UカットやVカットなどのひび割れ補修すると、補修跡を隠すことができません。
安価な塗料ですが、耐久性が短いのでメンテナンスの回数は多くなります。
費用相場としては、1㎡あたり1,500円〜2,000円程度で、耐久年数は3年〜7年程度です。
クリヤー塗料
クリヤ―塗料とは、無色透明な外壁用の塗料を指します。
撥水剤と合わせて塗装することで耐久年数を延ばすことが可能で、コンクリートの質感や風合いを長く残しつつ防水性を持たせることができます。
ただし、撥水剤より施工費用が高く、ひび割れがある場合は補修跡を隠せません。
費用相場としては、1㎡あたり4,500円〜6,500円程度で、耐久年数は6年〜10年程度です。
外壁コンクリート風に見える外壁材は?
外壁材によっては、本物のコンクリート外壁風に見える商品も販売されており、住宅などに普及しています。
サイディング外壁のメーカーであるニチハやケイミュー(KMEW)は、コンクリート打ちっ放し調サイディングを展開しており、コンクリートの風合いや「Pコン」の跡まで再現性が高く、2トーンに貼り分ける場合やアクセント壁として使われています。
サイディングの規格寸法上、本物のコンクリート外壁と比べると目地や継目は多くなりますが、サイディングの基材自体にひび割れは発生しにくく、塗装などのメンテナンス性が良いのが特徴です。
また、重量もコンクリート外壁より軽いので、お手軽にコンクリート打ちっ放し調のモダンな外壁デザインを楽しむことができます。
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